善悪1

人を殺すのはいけないことだと法律によって決められているからいけない、というのはどうだろう。殺人は法律によって罪とされ、それに対する罰として死刑がある。死刑になるのはイヤだから、だから人を殺さない。つまり、これは規則が「いけない」と言うからそれに従っているだけで、自分が「いけない」と思っているわけではないね。だから、罰せられなければ殺してもいいし、見つからなければもっといい。でも、見つかると困るから殺さない、これが、殺したいけど殺さない人の、いちばん普通の理屈だろう。
規則だからいけないという理由が、人を殺してはいけない理由として、どうやら一番強力のようだ。いけないと決めている規則だって、どうしていけないのかわからないから、規則で決めているにすぎないみたいだ。

引用:池田晶子「14歳からの哲学」


法律があってもなくても、人を殺す人は殺すのではないだろうか。

殺人に限らず、罰せられなければそれをするという心性が私は嫌いだ。

人を殺してはいけない理由は、規則がいけないとしているからなんだろうか。

規則が定めてなければ、何をしてもいいのだろうか。


規則は人間が決める。


人間の都合で規則が作られることもある。


「規則」の章を思い出そう。


人を殺してはいけない絶対的な理由なんてない、ということになりそうだ。

~つづく~