善悪1

なぜ人を殺してはいけないのだろうか。
映画や漫画の中では、大勢の人が殺したり殺されたりしているのを、君は見慣れているよね。それに、最近は、少年少女、君と同じ年齢の人による殺人が確実に増えている。何よりも、人類は有史以来、集団同士による大規模な殺人、つまり戦争という行為を絶えず繰り返しているけれども、なぜ人を殺してはいけないのだろうか。あるいは、ひょっとしたら、人を殺すのはいけないことではないのだろうか。一度きちんと考えてみよう。
誰もが人を殺すのはいけないことだと言っている。少なくとも、人を殺すのはいいことだというのは、あまり聞いたことがない。では、なぜ、人を殺すのはいけないのか、思いつくままに理由を挙げて、ひとつずつ考えてみることにしよう。

引用:池田晶子「14歳からの哲学」


人を殺すのはいけないことなのかを考える前に、「人を殺す」とはどういうことなのか。

人には寿命というものがある。

人を殺すとは、その人が寿命を全うする前に、その生を終わらせてしまうことになる。

そういう観点から、人を殺すとは自然の摂理から外れているように思う。

だから人を殺すことをしないというのではなく、人を殺すなんて物騒なことだというのが素朴な気持ちだ。

殺人事件などのニュースにふれて、いい気持ちになることはない。

ということは、人を殺すのはいいことではないと感じているからだろう。

それはなぜなんだろう。

池田さんと一緒にその理由を考えてゆく。

~つづく~