宇宙と科学
目の前に花がある夢を見ている、というふうに考えることもできる。人は、多くの場合、夢を見ている時はそれが夢だと思っていない。目が覚めてから、あれは夢だったと気づくのだけど、それなら、いま目の前に花があると思っているのは夢であって、目が覚めれば花は消えていると、考えることもできるはずだ。
いや、もっと大胆にも考えられる。たとえば君は、朝目が覚めて、学校へ行って、いろんなことをするけれども、そういう生活、これからの人生、生まれてから死ぬまでの人生のすべてを夢で見ていると考えることができる。むろん、夜眠ると夢を見るということを含めて、この人生という夢を見ているのだとね。
だとすると、死ぬことでその夢から覚める時、君はどこに目が覚めることになると思う?
かなり妙な感じになってきただろう。でも、人生というのは、考えるほどに、まったく奇妙なものなんだ。この奇妙なものの考え方を、詳しく考えていくことにしよう。
引用:池田晶子「14歳からの哲学」
人生という夢を見ている!
そう言われると、そんな気もしてくるから不思議だ。
死ぬことがその夢から覚めることだとしたら、いったいこの「人生という夢]は何なのだろう。
夢とも知らずあらゆることに一喜一憂している自分が可笑しくもあり、滑稽にすらみえてくる。
死んでみないと、人生という夢をみていたのかどうかわからないところもミソだ。
しかし、大胆な問いかけをしてくれるなぁ。
ほんと、人生とは奇妙なもの。
それを生きている自分というものは、さらに奇妙なもの。
いったいどういうわけで、今ここに自分が存在し、人生というものを生きているのだろう。
何度この問いの前に佇んだろう。
分かるわけがないと分かっていて、なお問わざるを得ないのだ…
~つづく~