家族や周囲の方へのアドバイス
治療の中心は本人と家族です。しかし精神科の病気は目に見えませんから、家族や周囲の方にとってはなかなか理解しにくいものです。
家族は「わからない」、本人は「わかってもらえない」というストレスを抱えることになりがちです。
病気についての理解が進むと、そうしたお互いのストレスが減ります。また、治療にどういう仕方で協力すればよいかがわかると、そのことが病状や経過によい影響を与えます。 本人・家族・医療関係者がみんなで医療チームを組み、統合失調症という病気に立ち向かえるのが理想です。
そこで、家族や周囲の方にお願いしたいことが4点あります。
病気とそのつらさを理解する
第1は、病気やそのつらさについて理解していただきたいということです。
患者さんがどんなことを苦しく感じるのか、日常生活で怠けやだらしなさと見えるものが実は病気の症状であること、を理解してもらえることは、患者さんにとってはこころ強いことです。
「気持ちがたるんでいるから病気になるんだ」といわれて理解してもらえないことは、患者さんにとってはつらいことです。
医療チームの一員になる
第2は、治療において医療チームの一員になっていただきたいということです。
家族のもつ大きな力を治療において発揮していただければ、回復もそれだけ促進されます。
すぐにできることとしては、診察に同伴して家庭での様子を主治医に伝える、薬ののみ忘れがないように気を配る、などがあります。
医師から処方された薬について、「薬を続けるとクセになってよくない」などというと、患者さんをとても迷わせてしまいます。
接し方を少し工夫する
第3は、患者さんへの接し方を少し工夫していただきたいということです。
患者さんは、対人関係に敏感になっており、そこからのストレスが再発の引き金のひとつとなる場合があります。
とくに患者さんが苦手なのは、身近な人から「批判的ないい方をされる」「非難がましくいわれる」、あるいは「オロオロと心配されすぎる」ことです(強すぎる感情表出)。
小さなことでも患者さんのよい面を見つけ、それを認めていることを言葉で表現する、困ったことについては、原因を探すのはひとまず脇に置いて、具体的な解決策を一緒に考える、という接し方が理想的です。
薬についてだけでなく、こうしたコミュニケーションにおいても、家族のもつ力が回復を促すことになります。
自分自身を大切にする
第4は、自分を大切にしていただきたいということです。
「親の育て方が悪かったから、こんな病気になった」と、自分を責めるご両親がいます。
しかし、これは医学的な事実ではありません。育て方のせいで、統合失調症を発症することはありません。
また「自分の生活をすべて犠牲にしても、治療にささげなければならない」と、献身的にがんばる方もいます。しかし、こうした努力を長続きさせるのは難しいことです。
患者さん自身にしても、周囲の方が自分を犠牲にするほどの献身をすると、かえって心理的な負担を感じてしまいます。
自分の人生と生活を大切にしてください。
そのうえで、治療への協力をお願いします。
しかしそれでも家族自身がつらい気持ちとなり、耐えにくい場合があるでしょう。そうした場合には、家族会に参加して同じような境遇の家族の方とつらさを語り合い、分かちあうことをお勧めします。家族会は、病院・保健所・地域など様々なところにあります。