こんばんは。


今日お話しします交響曲第5番(シベ5)は
シベ2の次に人気のある交響曲です。


人気の理由は、明るくわかりやすい
曲調にあります。

 


腫瘍を克服して死の恐怖から
逃れたシベリウスの
明るい笑顔が見えるようです。


シベ4とシベ5は陰と陽のような
関係であり、傑作の双璧なのですが
明るく親しみやすい分、
シベ5のほうが軽くみられる
傾向があります。


シベ5が明るいのは、この曲が
1915年のシベリウス生誕50周年
記念行事に演奏するために
依頼されたものだから、という
理由もあります。

 


ただ、1914年、第一次世界大戦が
始まってしまいます。
繊細なシベリウスには非常に
心を乱されますが、
交響曲には影響を及ぼすことなく
記念行事に間に合わせます。


間に合ったのはいいのですが、
シベリウスはこの作品に非常に不満で
大幅な改訂を試みます。


その改訂の最中、1917年3月に
ロシア革命が発生し、
ロシア帝国は滅亡しました。

結果、植民地だったフィンランドは
大混乱に陥り、内戦状態になります。

 


1919年、アイノラに兵士が数名
やってきます。彼らは実に乱暴で、
子供たちは泣き出してしまいましたが
シベリウスはピアノを弾いて
場をなごませたといいます。


兵士は、シベリウスが敵でないことと
武器を持っていないことを確認して
去っていきました。
(実はライフルを1丁持っていたのですが
子供の一人がとっさにライフルを持って
地下に隠れたそうです)

 


そういう目にあったこともあり
シベリウス一家はヘルシンキへ
避難します。


そしてヘルシンキでシベ5を
完成させたのです。

 

 

朝日が昇るような第1楽章から
おだやかな第2楽章、
雄大な第3楽章まで
とてもとっつきやすいので
ぜひ聴いてみてください。


それではまた。