多数の死傷者を出したエジプト暫定政権によるモルシ前大統領派の強制排除をめぐって、中東各国では対応が割れている。モルシ前政権に近かったトルコやカタールなどは直ちに非難の声を上げたが、サウジアラビアなどは逆に暫定政権を支持する姿勢を鮮明にした。地域の足並みの乱れは、事態の収拾を困難にしかねない。
イスラム系の公正発展党(AKP)が単独与党を占めるトルコでは、ギュル大統領やエルドアン首相が多数の犠牲者を出した強制排除を「虐殺」と断じた。17日には、数千人がイスタンブールでモルシ氏支持のデモを行うことを黙認した。モルシ氏の出身母体であるイスラム組織ムスリム同胞団と近く、前政権を経済支援していたカタールも強制排除に非難声明を出した。これに対し、サウジのアブドラ国王は16日、暫定政権支持を打ち出す声明を発表。同胞団側を「国を不安定化させる」「テロリズム」と批判し、暫定政権側の行動を正当化した。アラブ首長国連邦(UAE)やバーレーンなどの湾岸諸国も同様に支持表明している。
背景には、イスラム教スンニ派の盟主を自任するサウジが同胞団の影響力が自国内や周辺国で拡大することを警戒している事情がある。サウジはモルシ政権が事実上のクーデターで倒れた直後、UAEやクウェートと共に暫定政権に合計120億ドル(約1兆1700億円)の支援を表明した。
一方、エジプト軍とシナイ半島の治安維持で協力関係を保つイスラエルは、暫定政権による統治は国益にかなうとみているもようだ。 ただ、地元紙ハーレツによると、ネタニヤフ首相は16日、治安関係の閣議を開き、閣僚や政府報道官にエジプト情勢についてメディア対応しないよう求めた。アナリストのエリ・アビダール氏は「イスラエルが何か口にすれば、問題を広げるだけだ。黙っているのが賢明だ」と指摘した。