終末予言のトンデモ結末
東スポWeb [12/23 16:10]
古代マヤ文明の暦が「地球規模の大災害、人類滅亡」を示すとされた12月21日を迎え、世界中に不安が広がった。米航空宇宙局(NASA)には問い合わせが殺到し、中国では終末論を背景に信者を増やしていた宗教団体「全能神」の信者1300人が拘束された。だが、今のところ天変地異などは起きておらず、予言は外れた形。では何が当たったのか。早くもブラックジョークまで取り沙汰されている。ハリウッド映画「2012」(2009年公開)の衝撃的な世界が滅びゆく映像と、迫真のシナリオで、世界の人々は古代マヤ暦と終末予言について知ることになった。それ以来、予言の舞台となったメキシコのユカタン州の州都メリダ市は空前の「人類絶滅観光特需」が巻き起こっていた。人類絶滅遺跡ツアーに人類絶滅カレンダー、人類絶滅キャンディーに人類絶滅バッグ、人類絶滅Tシャツに人類絶滅定食…。とにかく商品に「人類絶滅」と記すだけで、世界中から押し寄せる観光客が買ってくれた。映画公開後の経済効果は「3年連続で成長率前年度比1000%を達成」(メリダ商工会議所)というほどだ。
しかし、諸行無常、栄枯盛衰、おごれる者は久しからず。繁栄した街に滅びの日が来た。人類絶滅が始まるとされた21日以降、メリダ近郊のホテルやツアーの予約はほとんどゼロに陥ってしまったのだ。滅びの日以降にマヤの各遺跡を訪れるのは意味がないというわけだ。ウシュマルやチチェンイツァなどの人気絶滅遺跡は完全に閑古鳥が鳴いている。だが「世界は火に包まれる」というマヤの予言はある意味で正しかったのだ。
「そもそも暦は、マヤ人によるマヤ人のための予言で、マヤ人の末裔・メリダの人々の生活が“火の車”となって壊滅状態になるという意味だったというブラックジョークまで出ている。メリダの人々にとっては観光客がいなくなり、観光産業が衰退すること=世界の終わりにも等しいからです」というのは現地に詳しいジャーナリストだ。メリダ観光協会は「世界が滅亡するのは2012年ではなく2015年だった」という古代マヤ歴のズレを指摘した新説を発表し、観光客の呼び戻しに躍起になっている。
しかし、2015年の人類絶滅説根拠とされる暦は、古代エジプト暦で、砂漠の神々が示した「世界が水に没する」というミステリアスな予言。今後は観光客をエジプトに奪われそうだ。
人類に関わる予言は、99年のノストラダムスの予言に続き、今回マヤの予言が外れた。なぜ一部の人間はこうも“滅亡説”に振り回されるのか。
オカルトに詳しい作家の山口敏太郎氏は「我々人類には“すべての人間が死に絶える”という滅亡論が常にある。言ってみれば、人類の歴史とともに滅亡論があったと考えても過言ではない。これらの滅亡論は、古代から続くハルマゲドン思想が代表例であり、西暦1000年の前年999年に起きた滅亡論、日本で鎌倉時代に流布された末法思想など、滅亡論は枚挙にいとまがない」と指摘する。
今後も人類滅亡についての予言はある。ヒトラーの予言は「2014年にヨーロッパが壊滅的なダメージを受け、2030年代に人類は神々とロボットに二極化する」というもの。ニュートンの予言は「聖書の分析から2060年に人類が滅亡する」としている。山口氏は「人類は滅亡論で心を不安にさせることで歴史のうねりを生き抜いてきた。『いつまでも人類の繁栄が続くはずはない』『自分は不幸だ。でも人類が滅亡すれば全て変わる』『こんな不平等な世界はなくなってしまえばいい』という思いが、時代時代の滅亡論を作り出したのかもしれない」と分析する。
人類滅亡説は一種の宗教として、不満を持つ人々の心をとりこにしてしまうようだ。