財政赤字を穴埋めする赤字国債発行のための特例公債法案成立のめどが立たない中で、財務省は26日、銀行関係者らを招いた会合を緊急に開いた。特例公債法案が成立しなければ、12月にも国債の発行が止まり、金利の乱高下といった混乱が予想されるからだ。国債の運用を増やしている銀行や生命保険会社は業績影響も避けられず、市場の不安が強まっている。
財務省の臨時会合は、市場への影響を不安視する機関投資家の求めに応じ、開かれた。銀行や証券会社の国債売買担当者25人が出席し、「強い危機感がある」「顧客から問い合わせが増えている」といった不安の声が挙がった。
財務省が今年度に発行を予定している国債は、個人向け国債などを除き、約120兆円。このうち80兆円は、調達資金を公共工事に充てる建設国債などで、残り38兆円が赤字国債だ。
だが、衆参両院の与野党勢力が逆転する「ねじれ国会」の影響で、赤字国債発行に必要な特例公債法案が成立していない。
財務省は、建設国債などを優先して月10兆円ペースで発行してきたが、これも11月に終わってしまい、早ければ12月4日の10年債の入札から、国債の発行が止まる恐れがあるという。
不安視されるのは、「金融市場の混乱」(SMBC日興証券金融経済調査部の山田聡部長)だ。
国債発行が止まれば国債の流通量が少なくなり、価格が上がって金利が下がる。一方で、国債の不発行で日本財政への信用が落ちれば、国債が売られ、金利の上昇要因になる。
さらに、法案成立がずれ込めば、来年3月まで短期間で、赤字国債を集中的に発行しなければならず、価格が急落する心配もある。
「こうした要因が絡み合えば、金利の乱高下につながる」(SMBC日興証券の山田氏)。だが、銀行や生保などは、企業の資金需要の低下で融資が減少し、その分、国債の売買や保有を増やしており、売却損や保有国債の評価損などのリスクがこれまでになく高まっている。