最近「AIに仕事を取られる!」って不安の声をよく聞きますが、ふと疑問に思ったんです。
「もし2008年のあの地獄案件に、現代のAI技術があったら...プロジェクトは成功していたのか?」 「人とのつながりって、本当にAI時代でも変わらず大切なのか?」
今日は、会社員時代の伝説的な大変案件を振り返りながら、この疑問を一緒に考えてみたいと思います。
🎯 【2008年の悪夢】あの案件を振り返る
時は2008年秋。リーマンショック直後の混乱期。
某大手製造業から「全社業務プロセス標準化プロジェクト」が降ってきました。
プロジェクトの規模
- 対象:国内外 十数カ所事業所
- 期間:2年間(本来なら5年規模)
- 予算:想定の何割かでスタート
- 途中追加:M&A子会社も対象に
- さらに追加:新会計基準対応も
当時の私の心境:「これは...人生最大のチャレンジだな😅」
🕒 【2008年の現実】人力だけでの戦い
フェーズ1:現状調査(地獄の数ヶ月)
やったこと
- 全拠点への出張調査
- 拠点ごとの現地ヒアリング
- 夜はホテルでまとめ(メモファイルだっだか覚えていませんが)
- 業務フロー図を手描きで作成
結果
- 作成資料:ドキュメント数十ファイル
- 体重:数キロ減(ストレスと不規則生活で)
フェーズ2:分析・提案書作成(更に数ヶ月の地獄)
やったこと
- 膨大な資料を手作業で分析
- PowerPointで業務フロー図作成
- 改善案を一つずつ手作業で検討
- ROI計算をExcelで手計算
結果
- 提案書:数百ページ(これも思い出せませんが、これくらい作っていたはず)
- 同僚からのあだ名:「ゾンビ」
フェーズ3:関係者調整(終わりの見えない半年)
現実
- 拠点との個別調整
- 会議のための会議が増殖
- 妥協に次ぐ妥協で当初案が骨抜きに
🤖 【妄想実験】現代のAIがあったら?
当時の案件に現代のAI技術を投入したらどうなっていたかと想像すると、、、
AIがあってもプロジェクトは成功したか?
成功要因(AIで改善される部分)
✅ 劇的に改善されること
- 単純作業の効率化
- データ分析の精度向上
- 人的ミスの削減
- 法務・規制チェックの精度向上
- 過去事例からの学習効果
AIでも解決できない部分
❌ 全く改善されないこと
- 顧客の「うちは特殊」主張
- 既得権益を守ろうとする抵抗
- 変化への恐怖心・不安感
- 組織内政治とパワーバランス
- 「なんとなく気に入らない」感情
新たな問題
- AIへの不信・反発
- 「人間が軽視されている」という被害者意識
- 説明責任の所在不明
- AI結果への過度な依存リスク
💡人とのつながりは本当に変わらないのか?
この妄想実験をしてみて、気づいたことがあります。
AIが変える「人とのつながり」
従来の人間関係
- 「一緒に苦労した戦友」的な絆
- 「この人なら信頼できる」という実績ベース
- 長時間の打ち合わせで築く信頼関係
- 「頑張っている姿」への共感
AI時代の人間関係
- AIを使おうが、20年後は変わると思うが、現在、5年後の仕事は大きく変わらない
実は「人とのつながり」の価値が上がる?
AIがあればあるほど重要になること
- 「この人の判断なら信じられる」という個人への信頼
- AIでは読み取れない「空気感」「雰囲気」の察知能力
- 相手の感情に寄り添う共感力
- 「人間同士だからこそ」の深い理解
具体例 現場責任者:「AIの提案は理解できるが...あなたはどう思うんですか?」
私:「私も現場を見て、確かにこの方向性が良いと感じました。ただし、移行期間はもう少し長く取った方が...」 現場責任者:「そうそう、未来(外部要因が大きい部分)は分からないですよね」
新しい「信頼関係」の形
AI時代に求められる人間性
- AIの限界を理解し、説明できる誠実さ
- 「AIはここまでしかできません」と正直に言える
- 効率化した時間を人間関係に投資する判断力
- 資料作成が短縮された分、対話時間を増やす
- AI結果に対する責任を取る覚悟
- 「AIが判断しました」ではなく「私が判断しました」
- 人間にしかできない価値を提供する意識
- データでは見えない現場の想いを汲み取る
AIがあっても、プロジェクトの根本的な難しさ(人間の感情、組織の政治、変化への抵抗)は変わりません。
むしろAIを使いこなすためには、今まで以上に「人間力」が重要になるかもしれません。
「人とのつながり」は消えない、形が変わるだけ
- 従来:長時間一緒にいることで築く信頼関係
- AI時代:短時間でも深く理解し合える関係性
効率化で生まれた時間を、より質の高い人間関係構築に使えるチャンスでもあります。
新しい時代の「プロフェッショナル」とは
技術力 × 人間力 × AI活用力
- AIに任せるべきことは潔く任せる
- 人間がやるべきことは全力で取り組む
- その境界線を適切に判断できる
これが新時代のプロフェッショナルかもしれません。
2008年のあの地獄案件。
AIがあったら、多くの時間短縮はすると思いますが、
プロジェクトを成功に導くかは別と思っております。
当たり前のことですが、やはり「人」だと思っています。
- 人への想いやり
- 相手の立場に立つ思考力
- 一緒に困難を乗り越える仲間意識
AI時代になって、むしろ高まっていくのではないでしょうか。
技術が進歩すればするほど、「人間らしさ」が希少価値になる。
それって、実はとても希望のある話だと思いません?😊
P.S. この記事を書きながら、2008年の同僚たちのことを思い出しました。
AIがどんなに進歩しても、あの時一緒に頑張ってくれた仲間たちとの絆は色あせません。
現代のIT業界で働く皆さんも、きっと10年後に「あの時一緒に頑張った仲間」として温かい記憶を共有しているはずです✨
技術と人間、両方を大切にしていきましょうね🤝