読み切り小説:巫女ドル | 勝利だギューちゃんの、果報は寝て待て

勝利だギューちゃんの、果報は寝て待て

変わらない今日と、変わろうとする明日を・・・

読み切りなので、全員に公開

 

☆巫女ドル

 

近所に神社があり、ひとりの巫女さんがいる。
この巫女さんは、とてもかわいく気立てがいい。

近所の子供たちは、この巫女さんになついていて、
巫女さんも、かわいがっている。


また、お年寄りにも人気があり、巫女さんは笑顔で対応している。

子供たちと、お年寄りのアイドル、巫女ドルだ。

 

しかし、肝心の同世代の友達は少ない。
巫女さん自身も、子供たちやお年寄りといるほうが楽しいようだ。

 

巫女さん・・・


当たり前だが、妙齢の女性。

なまえは、家中つくしという。

「つくしお姉ちゃん、遊んで」
「いいわよ。じぁあ、まりつきしょうか?」
「わーい」

つくしさんは、昔ながらの遊びを教える。

「おーい、つくしちゃん、一休みせんか?」
「はーい」
つくしさんは、お茶を入れる。

「うちの孫がな・・・」
つくしさんは、笑顔で対応している。

 

でも、そこは年頃の女の子・・・

 

「あっ、そこにいたの?こっちにきて」
僕は、つくしさんに呼ばれて駆け寄った。

「今日も、疲れたわ」
「でも、楽しそうですね」
「うん、大変なら辞めてるよ」
つくしさんに、缶紅茶を渡される。

 

「コーヒーも、炭酸も、だめだったよね」
「覚えてて・・・」
「うん。君は、特別だよ」

僕は、つくしさんと幼馴染で、僕がひとつ年下。

 

「でも、珍しいですね。つくしさんが、同年代の男と話なんて」
「言ったでしょ?君は特別」
「どうして?」
「女の子に、言わせるの?」
つくしさんは、笑顔で頭をつついてくる。

 

「私も、年頃の女の子だもん」

「そうですね」

言いたいとは、わかった。

 

「ねえ、」
「何ですか?」
「今日も、いい天気だね」
つくしさんの言葉に僕は頷く。

「そうですね・・・」

 

家中つくしさん。
不思議な女性だ。

 

「私の姿は、君にしかみせないよ」

「えっ?」

どういうことだ?

 

「子供たちや、おじいちゃんおばあちゃんへは、私の陽の部分」

「陽の?」

「うん。陰の部分は、君だから見せることが出来るんだよ」

 

そのことを嬉しく思う、自分がいた。

 

「ミステリアスな女の子の方が、魅力的でしょ?」
全くだ。