夫は、任期満了ではなく、スリランカでの仕事を昨年末で辞めて本帰国しました。


日本の上場企業の管理職から

スリランカで有名な会社の会長になって、

スリランカ人からすれば高給取りで雲の上の人のような暮らしをする人


と思われるような立場にいました。


その一方で、


社員3,000人超の家族約1万2千人の生活を守っていく責任は大きく、

ビザがなかなか許可されないスリランカ人の代わりに

アラカンおやじが営業マンのトップとして頻繁にヨーロッパに1泊3日弾丸出張をこなすのは

かつてアメフトで鍛えまくった強靭な体とはいえキツくなっていたと思います。


日本に戻ってからは、5ヶ月ゆっくり毎日が日曜日の生活をして、愛車でスリランカではできなかった犬連れドライブ旅に精を出し、リクルートWEBサイトに登録して、一応ハローワークにも顔を出すなどしていました。


本人はすぐに就職したいわけではなかったようですが、リクルーターが「こんな会社どうでしょう」と言う事で話を持ってきては時々面接を受けていました。


60才で定年が来ると、同じ仕事を続けても給料がガクッと下がり

一年毎の契約で働いていらっしゃる先輩方が多いそうですね。

私の友人知人らはほとんどがミュージシャンで個人事業主(フリーランス)。

定年に関係ない人ばかりなので、同窓会などで会社勤めの友人から教えてもらっていろいろ知ることになりました。


もし夫が60過ぎてから再就職活動しても、再就職先の候補はほとんどなかったでしょうけれど、

59才でしたので、ギリギリ少しはリクルーターの方に紹介していただけたのではないかと思います。

ただ59才という高い年齢で、会長まで経験した人物を使いこなせるか?という点で、

雇う側は舵を切れない会社もあったと思います。



そんな会社が多い中、採用していただいた会社とは…



以前記事にもしましたが、新卒の学生と同じ就職試験をおじさんに課した会社です。

もうとっくに忘れたつるかめ算や確率や性格、人物の傾向を計る問題があるので「こんな就職試験でオヤジを判断するような会社には別に受からなくてもいい。」と、夫はわざと変な人と思われるように回答したそうですが…次々と面接に合格して採用になったわけです。

(後から聞いたところによると、当てずっぽう回答がかなり正解していたんだとか。)


会社は国内の中小企業。

3代目の若社長はやり手で、大手の元上場企業社員を採用してグローバルに発展するように頑張っているのだそうです。

そんな会社で働いてみると、大企業と中小企業の社員の気質のハッキリした違いがあるそうです。

夫より先に採用されていた元有名大企業の方の中には、夫が採用されたことでやっと同じ立場で分かり合えそうな人が入ってよかったという人がいて、元エリート大企業社員だったという人は、プライド故に、現場で働く職人さんたちに全く話しかけない、かけられない。

初めからその会社に就職している人は、中途採用の元大企業社員に話ができない。


その点、夫はスリランカで多くの工員を相手にしたり大きな労働争議があったり、組合員数十人に取り囲まれたりと経験を積んでいますし、スリランカでも同じ目線で会話ができる会社のトップということで慕われていたから(自画自賛ですけどね)それをきっと今度の会社に期待されているんだな、といっておりました。


しかし、入社して初めて副社長と会った時、彼は夫が採用されたことを知らなかったそうで、ファミリー企業ゆえに情報の風通しが悪いのか?と感じたり、社員たちの働き方が遅い、何を今優先するのか決断が遅いと思ったりしたのだそうです。

夫が入社する前に2ヶ月かかっても解決できなかった問題が夫に回ってきて、それをあっさり夫が2日でレポートを作成して提出できたそうで…

「これなら俺は給料半分でいいから出勤も半分にしてくれないかなあ」

「俺の能力をちゃんと使ってくれない会社の給料を頼りにしなきゃ行けないほど生活に困っていないから、いつ辞めてもいいんだけどな」


そんなこと言っちゃって…



就活や会社勤めをしないで社会人になってしまった私には、大きな組織の一員となって動かす、動かされる経験が全くないので、想像をした事がない世界。それでも新卒生が就活に挑むテレビ取材はたくさん見たのでなんとなく理解できますが、アラカンの再就職の就活は、社会に揉まれて出来上がった人をどう活かしていくかにかかっている様ですね。



大企業の元社員を雇って会社を大きくしていこうとする社長の思惑。

中小企業で年金支給が始まるまで楽に働こうとしている元大企業からの再就職者の思惑。


気風の違う中小企業と元大企業社員の感覚の違い。


海外企業と国内企業のスピード感の違い。


60才過ぎてもずっと懸命に働く必要がある人。


どうせなら自分の経験を十分に活かせる仕事以外はしたくない人。



夫は1ヶ月とりあえず出勤してみてどうだったでしょう?

別業種にいたアラカンが上司としてやってきた会社社員はどう思ったでしょう?



半年間は試用期間。


雇う方も雇われる方も、お互いに

これから先どうするか見極めるというところでしょうか。


ただ新卒と違うのは、

フルで働くのはせいぜいあと5年というところでしょうか。年取ってからの5年って何が起きるかわからない。

そうなると、

アラカンを雇う方はかなり慎重になるのもわかる。



夫の人生最後の仕事になるはずだから

私は

夫に納得のできる働き方で締めくくって欲しいな。

と思います。



今回もお読みくださりありがとうございました😊