輪切りオレンジ去年の夏、花火大会の日涼しい夜に車を走らせて港倉庫まできた。都市高速の道路に並んで光るオレンジのライトを目で追い越して海のふち ギリギリに車を停めてちゃぷちゃぷとわずかに音を立てる黒く唸る液体をじっと見つめてた。後ろの方では、どーん ばばーん って心臓に響く音が聞こえる。音につられて 足を運ぶと雨風や潮に晒されて荒んだ工場の屋根や煙突の隙間から欠けた花火が ぱりぱり と見えた。不完全で、今までで一番綺麗だと思った。きれいだった。