肺=鎖骨周辺の急所の健康術と医術と武術

 

1  鎖骨周辺の急所(鎖骨活所)の健康術・医術・武術

 

  鎖骨は肺の急所(活所)である。肺の疲労はこの鎖骨が硬直し、骨は細胞の塊なので、ここに骨の細胞の状態、特に生命エネルギー(生気)の状況が現れるのでそれを指で感じながら読む。鎖骨に弾力があって柳の枝のようにしなやかで強くたわむような感じの鎖骨は健全で、生気の流れもよく、鎖骨とつながる肺臓も元気である。鎖骨を通して何を感じて観るかというと、鎖骨の周りの筋肉の状態とそれとつながっている肺臓の活力を観るのである。鎖骨の周辺にある肺の賦活の急所を鎖骨活所と我々は呼んでいる。

 しかし、肺臓に異常や病気があると、当然肺の運動状態は低下し、それが周りの薄い筋肉や骨の状態を硬直、弛緩させる。同時にその部分の血流と生気(エネルギー)の流れが悪くなるのである。そして鎖骨は弾力を失ってきて硬直し、その鎖骨の内側(鎖骨窩)に硬塊(硬いかたまり)や硬核点(固まった粒)ができる。その場所や大きさは異常の程度や個人の体質で様々であるが、共通することは、それらが血流や生気の流れを阻害しているから、肺の生命活動が損なわれたままで、肺の活動力が復活しにくくなり、これが慢性化し、異常進行することを病気の状態ということができる。肺の病気の予防、健康向上は鎖骨の急所を常にいい状態に保つことであり、治癒はここに現れたー筋肉に現れた異常=硬直した塊(硬塊)や硬い粒状の痼(硬核点)を無くし、血流と生気を導くことにある。

 鎖骨や鎖骨窩(鎖骨の内側の部分)が硬いだけでなく、冷たくなっていれば異常が常態化、慢性化している。熱があって暖かくなってくれば、免疫力が発動されて異常は快方に向かっている。

和方活法術においては、主に中指か人差し指(人差し指は子供や体格が小さく鎖骨窩が狭い人の場合)で硬塊や硬核点を取って、生気を通し、相手の自然治癒力を鼓舞していく。この場合、鎖骨窩は筋肉が極めて薄く特に響きやすい場所なので、他の急所(活所)より一層指に力を入れないで行い、ゆっくり、やさしく、異常物、病根となる硬塊、硬核点を取らなければならない。

 

武術において鎖骨窩には秘伝の急所で一発で呼吸を止め肺を破壊する「急雨」とも呼ばれる場所(殺所)がある。当然この急雨も肺を賦活させる重要な急所である。(動画参照)。急所には医健の急所(活所、活点)、武殺の急所(殺所、殺点)とその両方を兼ねる急所の3つに分かれる。急雨はこの3つ目に属する急所である。つまり急雨は、活殺自在の急所で、活の場合はゆっくり、緩やかに、護身術の殺倒法の場合は早く、急激に、強く圧するという真逆の方法となるのであるが、呼吸のとらえ方、心法(注1)、生気の通し方にそれぞれ秘訣がある。なので正確な口伝(注2)を受けないとすぐにはできないが(特に武術は)、このブログでは誰にでもできる効果が高い健康術、医術を紹介する。

 

2 誰にでもできる肺の健康を増進し、癒やす簡易な方法

 

誰でもできる方法、つまり簡易療法や家庭療法、あるいは病気予防、健康維持法としては、蒸したタオルで鎖骨、鎖骨窩、鎖骨下(した)を覆うように当てる。1回最低20分くらいを2回、昼(朝でもいい)と晩に1日2回おこなう。それと合せて鎖骨窩全体と硬塊、硬核点を人差し指、中指、薬指で軽く押さえて触手法で生気を通す。一回最低10分くらいを一週間は続けてみる。触手法はいつ行ってもよい。

一週間後に鎖骨窩の硬塊や硬核点が緩んで無くなり、鎖骨とその周りが温かくなっていれば改善に向かい治癒効果があったということがわかる。

 

3 鎖骨と連動する肺の活所

 

鎖骨の活所に生気が集まって自然治癒力が高まっていくと、肺臓に何らかの病気があれば、これも人様々だが、発熱、赤黒い痰やピンク色の痰がしばらく出てくる。これは毒素の排出現象でしばらくすると出無くなる。私は肺気腫、肺がん、肺嚢胞、アトピーなどいろんなケースを観てきたが、どのような場合でも行った活法術の基本は同じで、鎖骨の硬直の流れを触ってみて、鎖骨窩か鎖骨の下の鎖骨下辺の硬塊、硬核点を探して取り、生気を通す。その他にも肺の有効な活所はあるが、それは別稿で紹介する。

効果をより迅速にするには鎖骨、鎖骨窩、鎖骨下辺を観て施法すると同時に、裏の背中側の胸椎3、4、5番(特に3番)の骨の状態を同時に観ておき、肺の健康状態が良くなるとこの2つの活所は同時に弾力が回復する(生気=エネルギーが高まり、流れが良くなる)ので活法術を行うたびにその変化を確認する。技術者の場合は、3、4、5番の修繕を行うと効果がより迅速になる。