仏教には「中道」という考え方があります。
極端に偏らず、調和を大切にするという考えです。
しかし、勘違いしてはいけないのは、「中道」とは、ただ真ん中を選ぶことではないということです。
映画「ベストキッド」で主人公ダニエルに対して、師匠のミヤギが言います。
「道の左側を歩いても安全。右側を歩いても安全。
しかし、真ん中を歩けば、遅かれ早かれ車に轢かれてグシャだ。
空手もこれと同じ。中途半端ではいけない」
右か左かを選ぶことはできます。
(やるならやる。やらないならやらない。)
しかし、道路の真ん中を歩けばいつか車に轢かれてしまいます。
つまり、中道とは「何でも半分ずつ」という意味ではありません。
状況を見極め、その場に応じて最も適した道を選ぶことです。
要はバランスです。
薬も同じです。
薬は人を助けます。
しかし、飲み過ぎれば毒になります。
逆に毒であっても、ごく微量であれば薬として使われるものもあります。
結局のところ、毒か薬かを決めるのは、そのものではなく「量」なのです。
昔から「酒は百薬の長」という言葉があるように、適量のお酒はどんな良薬よりも効果があると言われています。
※じゅくちょーが飲む酒の量は「毒」です。
これは教育にも当てはまります。
褒めることも大切です。
しかし、褒め過ぎれば慢心につながることがあります。
叱ることも必要です。
しかし、叱り過ぎれば自信を失わせてしまいます。
厳しさも優しさも、それ自体が良い悪いではなく、どのくらい、どの場面で用いるかが大切なのです。
2000年以上前に孔子が残した言葉に
「過ぎたるは及ばざるが如し」
という言葉があります。
何事も、やり過ぎれば本来の良さを失ってしまう。
やり過ぎることは、何もやらないのと同じくらい、よくないことだという意味です。
武道は、この「ちょうどよさ」を探し続ける道でもあります。
強さだけでは荒々しくなります。
優しさだけでは弱くなります。
技術だけでも、人としては未完成です。
極真空手創設者の大山倍達は言いました。
「正義なき力は暴力なり。
力なき正義は無力なり。」
だから武道では、強さと優しさ、勇気と慎み、厳しさと温かさ、そのすべての調和を目指します。
人生に正解は一つではありません。
大切なのは、偏らないこと。
そして、その時々で最もふさわしい道を選べる心を育てることなのだと思います。
前に前に。
泣きはなし。
