カーテンを閉めて

水を買ってきて

疲れた

これしか食べられなかった

また明日

眠れなかった







何通かする入院中の母は
いままでの母では無く
私の知らない母になり
優しい言葉も
楽しい話も
私にしてくれなくなった

泣く気力も感じられない
ただ
癌になった事を
毎日考えては忘れ考えては悩み
考えては悔やむ日々を送っていた

それでも私は仕事に行き
子供の面倒を見て
買い物に行き
晩御飯を作り、洗濯をし
父の布団を片付け
ただ泣いていた

#癌
#抗がん剤
#副作用
#記録
#経過
1度目の抗がん剤の日が
病院のミスにより延期になった。

吐き気どめのみ点滴した母は
病院のベッドで
とても退屈そうにしていた
無駄に減る体力と気力
病院の食事も
喉を通らずにいたのを覚えている

まだ何もはじまらないのに
母は
すっかり病人で
いつも通りの振る舞いは
もう
許されなかった。

何にでもいいからすがりたい

大きな病院で
さまざまな病気の方がいて
そのなかに
母がいる事だけが
違和感でしかなく
また
なにもしない
何もできない日々が続いていくのを
繰り返していくのを
目を閉じて眠る母を見ながら
信じられないでいる自分に少し引いた


点滴は
手術したポートから漏れ
母は
また薬を飲み
レントゲンを再度取り
一時退院させられたのだった

命とは
これほどまでに儚いものなのか
ここで
申し訳ないが、私の病院へ対する信頼は
まるで無くなってしまった


母は
病院へ検査に行くたび

どうなるかわからない

と言っていた。
帰ってこれるかも
入院になるかも

どうなるかわからない

そう言って
大丈夫だから
絶対に元気になるから
と言っていたのだけれど

現実の
癌という病は
母の身体をむしばみ
痛みや出血
副作用と言う名の
地獄なのかもしれない
という毎日を
過ごしていく。


20ページほどの
副作用の説明書にも
ガン保険の書類にも
一切
目を通さなかった母は
本当に
自分を憎んでいるように見えた

なぜ、あの時に
なぜ、あの時に
と悔やみながら
グッスリと眠れる日々がないほど
考えていたんだと思う

1回目の抗がん剤への恐怖は
はかりしれなかった。



#抗がん剤#通院#癌#母が癌