『玉ねぎの花?』
 
畑に行こう、といいだしたのは嫁だった。
たくさんボンサンが増えてたよ、と。
 

「何だよ、あれだけ気温や日長をうけても、
花をつけた茎が伸びないようしてたのに。」
 

それにしても、こんなに…
改めてボンサンに目を落とした。
   

じつは
  
 
玉ねぎは、春になると、
このネギ坊主のようなものが咲いてくる。
   
この地方では玉ねぎに花が咲くのは、
あまり喜ばれない。
  
それをボンサンという。
  
 
「正直いって、ショックでした。」
 
 
あそこまで激しく、
ボンサンが生えるとは思いませんでした。
 
 
というのも、
 
 
玉ねぎが成長すぎていると、
球の肥大が大きくならない。

ソフトボールのような、
丸々育った玉ねぎに体力を使わず。
 
実じゃなくて花を咲かせる方に、
体力を使うようになるからだ。
  
 
しかし、
 
 
「ふしぎといえば、
玉ねぎは変わっている。」
 
 
たとえば、
 
 
キュウリとかは、
花が咲くと実が大きくなって。
  
そのなかでタネをふやし、
子孫繁栄していくんだけど。
 
 
玉ねぎにかんしては、
 
  
”実をふくらませなくても、
花が咲いてタネがつくれる!”
  
 
べつに、
 
 
太陽の光をあびて、
体内に糖分をふやして。
  
甘味をたくわえて、
カリウム・カルシウム・リン・ビタミン類を多く含むませる必要はない。
  
 
これを、
  
  
人間はよろこんで、
「血液サラサラになるんだよな」、とか。
  
カレーライスやハンバーグ、
オニオンスープなどに入れて、
恩恵を受けている。
 
 
にもかかわらず、
 
  
玉ねぎかしてみると、
栄養をたくわえていたのは。
 
生きるためでも、
子孫繁栄のためでもなく。
 
 
もしかしたら、
 
 
「ただの食べ過ぎ?!」
  
 
わかっちゃいるけど、
ついつい食べ過ぎてしまう?
   
という理由で球を大きくしてたのかもしれない。
   
つまり、これも共存共栄である(笑)。