少女マンガに出てくるような骨格をした男の人で、
スーツを絶妙に、そして完璧に着こなしていた。
髪の毛も、さっき、美容院にいってきたかのようなセットぐあい。
細く長い奇麗な指先をしていた。
その手の左手の薬指には指輪がしてあった。
あまりにきれいな骨格なので、じーっと見てしまった。
なにかとても不思議な気分だ。
私はちょっと髪の毛がボサボサな感じが好きだったり、
猫背な姿でだらっとした感じが好きだったりするのに、
なぜか、骨格に対しては完璧なものを見ると惹かれてしまう。
レントゲン技師にでもなればよかったのだろうか。
“秘密とレントゲン” 詩:谷川俊太郎
レントゲン氏は僕を唯物的に通訳しただけなのに
僕のすべての秘密を覗いたつもりで唸りたてる
赤ラムプが詩的でないような暗闇に
レントゲン氏の熱情は高圧電気の磁力となって
ある特殊組成の空気をつくっている
〈ここの右ルンゲはインタクトで…〉
いかにも声を感じさせる白い人達の会話
つまり僕を通過するひとつの体系
それによって表現される僕という世界
病院では肉体の秘密がない
そのため精神はますます多くを秘密にする

私が死んで、焼かれて骨になったときは
ちゃんと仏のようにみえる、きれいな喉仏が残るといいな。










