たかしは、弟のヒロフミばかり可愛がる母親に、その思いの丈をぶつけたのだった……。
たかし「母さんは、いつも弟のヒロフミのことばかり……俺のことなんかどうだっていいんだろ!」
母親「そんなことはないわ……」
たかし「いいや!ヒロフミの誕生日にはケーキを買ってくるのに、俺の誕生日にはかりんとうだけだったじゃないか! なんだよ、誕生日に かりんとうって!!」
母親「おいしいじゃない…かりんとう……」
たかし「うまいよ! かりんとう うまいよ!!……でも、誕生日に……楽しみにしていた誕生日に かりんとうはないだろ! 俺だって、誕生日ケーキにロウソク立てて フーッってやりたいよ!!」
母親「だって……かりんとうって、うんこみたいじゃない。。。だから……」
たかし「はぁ!!? なんでうんこみたいだから、俺の誕生日にかりんとうなんだよ!! 意味わかんねーよ!」
母親「それは……」
たかし「母さんは、単に俺が可愛くないんだろ! もういいよ!」
母親「可愛いわよ……だけどね、ヒロフミはお腹を痛めて産んだ子だから、どうしてもヒロフミを可愛がってしまうの……」
たかし「なんだよ……俺だって、母さんのお腹から生まれたじゃんかよ……ほら、昔、言ってただろ? あなたを産んだときはとても大変だったって……あれ、嘘だったのかよ??」
母親「嘘じゃないわよ……嘘じゃないけど、クソなの……」
たかし「……ふざけてんのかよ!なんだよ、さっきから意味わかんねーよ」
母親「ふーっ……わかった。あなたも もう二十歳だから、言うわね。」
たかし「な、なんだよ」
母親「こどもって普通、お腹から……というか、前の穴から出てくるわよね?」
たかし「や、やめろよ! なんで母親と下の話しなきゃ いけないんだよ!」
母親「たかし!……大事なことだから」
たかし「……そ、そうだよ、ふつうそうだろ……」
母親「ヒロフミも前の穴から生まれたわ。あの時は痛かった~、ほんと痛かった」
たかし「……」
母親「でもね、あなたはヒロフミと同じ穴から生まれなかったの……」
たかし「ん? ……ということは、お腹を切ったってこと??」
母親「いいえ、あなたも穴から生まれたわ」
たかし「どっちだよ……だったら、同じじゃんかよ。穴から産まれたんだったら、ヒロフミとなにも変わらないじゃないか」
母親「穴が違うの……」
たかし「穴が違う???」
母親「そう、あなたは後ろの穴から生まれたの」
たかし「ど、どういうことだよ?」
母親「ヒロフミは前、たかしは後ろ……つまり、あなたは肛門から生まれたの」
たかし「もういいよ……そういうの、今まじめに話してるんだから…」
母親「嘘じゃないの!!私だって、はじめは信じられなかったわ。でも、現実にあなたがここにいるの、それが全てなのよ……」
たかし「ちょっ…待てよ。そんなの人間的にあり得ないだろ?? だって、親父と、その…そういうことをしてお腹に宿って…そして…」
母親「お父さんとは、そういうことをしなかったわ」
たかし「そういうことをしなかった?? じゃー生まれるはずないだろ?? もーホントいいよ、エイプリルフールはまだ先だぜ? 俺だってこどもじゃないんだから、そんくらいの仕組みくらい……」
母親「発芽したのよ!」
たかし「は、発芽ぁ???」
母親「そう、私も詳しくは分らないんだけど、病院の先生が言うにはそれしかないって……
飲み込んだ何らかの種が胃の中で育って、それがクソとともに外に出てきた……」
たかし「……発芽って、それじゃ、俺植物じゃんかよ…」
母親「そう、あなたは稲科の植物よ」
たかし「まじか……稲科……」
母親「ごめんね、今まで黙ってて。
あるとき便意がして、普通にトイレにいって、普通にクソをしたら、普通にクソと一緒にあなたが……」
たかし「普通にクソと一緒に……」
母親「だからかな……実感がないの。あなたを産んだっていう……あるのは排便をしたっていう感覚のみ」
たかし「排便感のみ……は!そうか、だから、誕生日にかりんとう……そいうことか……」
母親「いろいろね、メッセージは送っていたのよ。かりんとうプレゼントしてみたり、お弁当にカレー入れてみたり……」
たかし「あぁ……あれは鞄にダダ漏れで大変だったよ……」
母親「……」
たかし「ははは、はは……そうか、俺は母さんのこどもじゃないどころか…植物で、うんこだったわけか…… はは、とんだピエロだ……」
母親「た、たかし、」
たかし「触んじゃねーよ!!」
母親「たかし……」
たかし「汚れちまうよ……俺、うんこだから……」
ーーたかしは静かに玄関の扉を閉め、出ていった。ーーー
母親「たかしーーー!! あなたのこと、あなたのこと、うんこなりに、うんこの割に愛していたわよーー!!!」
たかし「聞えてんよ!くそばばぁ!!! ……あ、クソは俺か…。なんだよ、うんこの割にって……」
つづく