短編小説:タケルと俺〜糞まみれの青春〜 | 珈琲 たいむす

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この世紀末の雰囲気、もう笑うしかない。

 
タケルと俺は中学2年生。
 
 
大人と子どもの狭間で揺れ動く青春真っ只中だ。
 
 
タケルとは、中2の1学期で出会って、意気投合。   まだ出会って3ヶ月なんだけど、かなり長い友達みたいな感覚なんだ。
 
 
 
 
大人からみたら不思議なんだろ?
 
まだ3ヶ月の相手を友達と呼べる感覚って。
 
 
 
でも、思い出してみなよ。あんたも何十年か前は中学生だったんだから、分かるはずだよ。
 
 
中学生の1日はとても濃いんだ。
 
朝8時30分のチャイムから夕暮れまで、勉強、友情、そして恋……とビッシリ
 
 
そんなヘヴィーなものがてんこ盛りな
1日×3ヶ月……友達と呼べる仲になるには十分な時間だ。
 
 
 
 
 
 
 
 
ところでさ、
 
1日学校を休んだだけで、流れが変わる感覚って覚えてる?
 
 
 
 
1日学校を休むと
一昨日話してた友達が、急に余所余所しくなっていて、自分の居場所を作るのにしばらく掛かるんだ。
 
 
あの感じが嫌でね、俺は学校を休まないんだ。
 
 
ココはみんな必死だよ、居場所を作らなきゃってね。なんとか、居場所を……
 
 
 
外に出ればもっと広い世界が広がっていて、ココから逃げ出すこともできるんだって  分かるんだけど
 
 
 
今はまだ殻の中だよ。孵化してない卵に外の世界を観なさいって言っても、そりゃ無茶な話だろ?
 
 
イジメを語る評論家は、そんなとこを忘れちまってるんだ
 
リアルを知らない机上の空論を吐くのは、構わないけど、それを俺たちに強制しないでくれ。
 
 
 
 
 
 
 
 
おっと、タケルがトイレから出てきたぜ。
 
 
「おい、腹大丈夫かよ?」
俺は一応心配な言葉を投げかけた。
 
 
 
「ああ、なんとかな。でも…」
 
 
 
「でもなんだよ?」
 
 
 
「うんこを流していないんだ」
タケルは深妙な面持ちで言い放った。
 
 
 
「はぁ?なにしてんだよ、そりゃマズイだろ。流してこいよ」
 
 
 
するとタケルは続けた
「俺が流さなくても誰かが流すよ」
 
 
 
「いやいや、何言ってんだお前。誰か流すとしても、それは人としてどーなんだよ…」
 
 
 
 
タケルはこう続けた
「あのな、社会は分業だよ。労力は分散させることによって、より効率のいい社会になるんだ」
 
 
 
「効率のいい社会?」
 
 
 
「そう、肉屋が肉を売りながら、漁に行って、畑に行って、それを加工して、販売して……ってやらないだろ?」
 
 
「…まぁな、肉屋、魚屋、農家があるし、
食品加工会社もあるし、小売の人もいるよな」
 
 
 
「そう、だから俺がうんこを流さなくても、誰かが流す。うんこを垂れる人と、流す人とは必ずしも一致する必要はない。
排便の分業だよ」
 
 
 
 
「いやいや……だとしてもだよ?
それじゃお前が一方的にして貰ってるだけじゃん?  お前は何をして社会に貢献するのさ?」
 
 
 
 
タケルは不敵な笑みを浮かべた。
 
「俺か?  俺は、うんこを生み出している。この俺のうんこを肥料という肥やしにして肛門から社会の資産を生み出しているんだ!」
 
 
 
タケルは頭がいい。
 
いつもこの調子で俺に社会を教えてくれるんだ。こないだも、漁師の上下関係の法則である「漁師力学」を教えてくれたのだけど、どれも合点がいくものばかりだった。
 
 
 
将来のイグノーベル賞は、タケルが総ざらいするのだろう。
 
 
「おっと、2限目始まっちゃうよ!理科室行かなきゃ!」
 
タケルは走った。
 
 
 
「ちょっと、タケル!タケル!」
 
俺タケルを呼び止めた。
 
 
 
「あ?なんだよ、早く行かないと遅刻だぞ!」
 
 
 
「ズボンから1mくらいトイレットペーパーが出てるぞっ!」
 
 
 
タケルは一瞬顔を紅潮させたが、
すぐにこう返した
 
「わざとだっ!」
 
 
「そうか、わかった!」
 
 
 
「急ぐぞ!」
 
 
「ああ!」
 
 
 
 
僕はこんなタケルといるのが楽しい。
いつも、糞の話ばかりで下品だけど
 
 
2人の糞まみれの青春は始まったばかりだ
 
 
                                  続く