午前0時を回ったところで、
コンビニ強盗が入ってきました。
コンビニ店員
いらっしゃいませ…
強盗
おら~!金出せや!
店員
ひぃ~!
す、すいません!
(手を挙げる)
店員
あれ。。 それ。
スプーンじゃないですか?
強盗
そうだ! 早く金を出せ!
店員
あの…大変 このような状況で
言いにくいのですが
なんで、、
なんで、スプーン…なんですか?
強盗
あ? それは、おまえ、
ナイフとかだったら 血がでちゃったりして あぶねーだろ!
店員
いや、 でも それじゃ、
脅しにならなくないですか?
スプーンなら 怖くないし
それだったら お金を出す気にもなりませんし…
強盗
馬鹿野郎!
それは、そうだけど
おまえが怪我したらどうすんだよ!
人命が第一だろ!?
金が取れたとしても、おまえの命まで取っちまったら 何にもなんねーじゃねーか!
違うのか!!
店員
強盗さん…
そこまで…
わかりました。
僕はあなたに 強盗を成功していただきたい。 あなたの様な 真っ直ぐな
方に 奪われるなら 本望です。
強盗
おまえ…
すまない、 俺もおまえが憎くて
強盗してるわけじゃないんだ
店員
はい、僕も脅されはしたけど、
あなたは どこか 人間的に憎めない。
だから、僕はお金を差し出すことに
決めました。
強盗
おお!そうか、
じゃ…じゃあ、これに
めいっぱい 詰めて…
店員
しかしっ!
このままでは、スプーンでは
全く怖くないので 強盗という気がしない。
なにか、刃物的なものを 形だけでも、
持っていただけませんか?
強盗
それは、できない。。
店員
じっさい、切るわけじゃないですし、
僕も 怖くないのに お金を差し出したら
窃盗になって しまう可能性もないわけじゃないし…
強盗
え、横領じゃないのか??
店員
はい、僕みたいなバイトの人間には
業務上の権限があるとは
言い難いので
勝手に お金を持ち出したら
理論上、窃盗になる可能性があるんです…
強盗
そうなのか…
それは、迷惑をかけるな…
でも、刃物は持つことはできない。
すまない…
ポリシーなんだ
店員
強盗さん。。
そう…ですか…
じゃあ、せめて、
スプーンじゃなくて、
フォークにしていただけませんか?
先端が尖っていれば
ちょっと 怖くなりますし、
それなら、、
強盗
できないっ!!
店員
なんで?!
強盗
フォークっていってもな、
思いっきり 刺せば
刺さる可能性があるんだぞ!
それを、そんな
おまえみたいな いい奴に …
そんなことできるわけないだろ!!
店員
強盗さん…
そうですか…
じゃあ、先が尖ってなければ
いいんですね?
強盗
ああ、丸かったりしたら
大丈夫だろう…
店員
じゃ、これは、どうですか?
強盗
ピザカッターか…
買ってはみたものの
使わないので、いざ ピザを食べる時に
見当たらない
ピザカッターか…
店員
はい、これなら
人を傷つけずに…
強盗
だめだ、、
店員
なぜ!?
強盗
ピザカッターだぞ?
仮にも カッターと名がつくものだ
そんなものは、持てない。
安全性に乏しい。。
店員
なにを言ってるんですか!
緊急事態なんですよ!
このくらいもって、ください!
僕なら大丈夫、じゃないと
警察が来ちゃいますよ!
強盗
警察が?!
誰もいないのに…
俺とおまえしかないのに…
そんな仕組みがあるのか?
店員
僕が非常用のベルをおしました
強盗
おま…
な、なにやってんだよ!
おまえ、俺の強盗がうまくいく様に
してくれてんじゃなかったのかよ!
店員
はい。。
でも、悪いことは悪いことなので…
すいません。。
強盗
そうか…
ふ、ふふ、、
はーはっはっ!
おかしな もんだな
同じ真っ直ぐな 性分の
人間がゆえに 曲げらんねー
俺は、刃物がもてない
おまえは、正義を捨てられない
強盗達成という 同じ目的があってもな…
店員
…ですね、、
(pcサイレンの音)
強盗
おっと、お迎えがきたようだ…
じゃあ、そろそろ 行くとするよ
店員
違う場所!
強盗
ん?
店員
僕たち、違う場所で出会えてたら
違う結果になってたんですかね!?
強盗
…かもな。。
午前零時、
けたたましいサイレンの闇に
彼は消えて行った。。
---時は雲とともに流れ---
5年後、
私は店長になっていた。
そして、
刑期を終えた 彼が
このコンビニに また 現れる
もちろん、強盗としてではなく
今度は、アルバイト面接という形でね
私たちは、一晩中あの夜のことを語り明かした。
スプーンやフォークのこと
そして、お互いの夢のこと。。
バイトの面接は
もちろん落とした
だって、強盗なんて雇いたくないもん
おしまい
