通勤電車で起こった出来事。
仕事の帰りに満員電車に乗っていた。
クタクタで
立つのもつらいし
吊り革つかみながら
眠ってしまいそうだった。

目の前に座ってた人が降りて
奇跡的に座れた。
鞄を上の載せて
座った瞬間目を閉じて
居眠りした。

その時だった。

目が覚めるが
体が全く動かない。
周り見ようとするが、
首が固まって
目しか動かせない。
腕も足ももちろん
凍ったかのように。
真夏なのに
車内の空気がヒンヤリ。

周りの人の様子がおかしい。
誰も動かない。
ビクともしない。
手がスマホや本を持ったまま
画面をいじったり
ページをめくったりしない。
銅像のように
固まって
立っていただけ。

しかし
何かが動いていた。
最初は遠くから
聞こえて来た。

バタンと
引きずる音。

何かが這ってくる。

叫びたかったが
周りの人みたいに
静かに固まって待ってたら
見つけられないかなと思った。

音がドンドン大きくなった。
立っていた人の体が揺れ始めた。
何人かが倒れた。
重たい荷物を
ストンと
落とすかのように
固まった体が床に倒れる。

近づいてくるモノの
荒い呼吸も聞こえて来た。

前に立っていた人の足をくぐって
目の前に現れた。

灰色の長い髪が床に流しこぼれ、

灰色の細い手を伸ばして、
座っていた席をつかんできた。

顔をゆっくりあげて、
白い目
針のような歯ぎっしりの
真っ黒な口が
近づいてきた。

電車がブレーキをかけた。
突端に目の前のモノが
消えて行った。

叫び声をこらえて
立ち上がって
電車から急いで降りた。

その夜は
一時間以上をかけて
降りた駅から歩いて帰った。
暗闇を歩いていると
電車のな中で見てしまったモノに
ずっと見られている気がした。