『ゴジラ-1.0』は観ていて 泣くのではなく 涙がこぼれてきてしょうがなかった

 

昭和の頃の映画にあった、戦争で死ねなかった男の悔しさをテーマにした映画を思い出した

 

『火垂るの墓』では冒頭 清太が駅で死んでしまうが あの小説を書いた清太である野坂昭如は

 

戦争で死なずに 節子との思い出を書いた

 

 

戦争とは残酷でトラウマやPTSDを長期間 残すこともある

 

自分の家族 友人などが戦地でお国のために亡くなったのに

 

自分は生き残ってしまった罪悪感のようなものを まさか令和の映画で観るとは思わなかった

 

『シン・ゴジラ』とは次元の違う 気取らない作品なのがよかった

 

だから もう一度 観たかったが終わってしまった

 

 

確かにあの映画の冒頭 主人公が帰還するあたりの芝居は

 

NHKの連続テレビ小説みたいでありながら 最後には回収するという

 

すばらしさ

 

ただ 包帯が新品の真っ白ばっかりなのが嘘くさかったけど

 

 

『男はつらいよ』シリーズで 途中から満男くんを演じた

 

吉岡秀隆が それこそさくらさん(倍賞千恵子)のように

 

加齢に逆らわず白髪頭で 本当にさくらさんの息子みたいだったが

 

彼が与えたリアリティはすばらしいと思いました

 

 

あと『ゴジラ-1.0』のいいところは 無駄に外国人(白人)が

 

出てこないところ

 

確か0人だった

 

ゴジラは日本の破壊者であり疫病神なのだから

 

日本人が片づけるべき怪獣なのである

 

『シン・ゴジラ』で日系アメリカ人がとてもアメリカ人とは思えない英語で

 

セリフを言っても許されるような映画で部分的にはがっかりした

 

 

日本の政治家はたくさん登場した『シン・ゴジラ』

 

米軍の応援も必要であろう

 

しかし ゴジラが破壊した東京などの土地を誰が手に入れ

 

利権を得るのか といったことまでは踏み込まなかった

 

米軍が兵士や戦闘機をあれだけ破壊されておいて

 

リターンを求めないなんて考えられない

 

 

その点 『ゴジラ-1.0』は いい意味でシンプルであり

 

人情もあり 一生懸命にゴジラを海底に沈める作戦を進める

 

人間のうつくしさがあった

 

 

一生懸命に生きても死なないことが大切

 

『エゴイスト』とは大違い

 

 

もう1本 劇場で二回目の鑑賞をしたかったのが

 

『首』

 

あれだけカネかけているのにどうして不入りで

 

僕が最初に観に行った時は すでに夜1回の上映だった

 

自分には理由が分からない

 

あれだけの作品で エンディングのほうに向けて

 

ちょっとフェードアウトするけど あれだけ西島秀俊がたくさんの

 

スクリーンタイムを与えられているのにもったいない

 

 

歴史を知らないと混乱するかもしれないが

 

日本映画の時代劇を観てれば分からないことではない

 

メインキャストが現代的すぎた部分もあるかもしれないが

 

それは仕方ないこと

 

美人が出て来ないなら西島秀俊っていい男だよなと

 

思いながら観たところで法律には抵触しない

 

この映画は いつか必ず評価される時代がくると思っている

 

あえて苦言を呈すならば 鋼の刀と人間の頭(首)は

 

決して軽いものではない

 

歌舞伎の悪いところ真似しちゃったのかな

 

 

それでも この映画は繰り返し観る価値がある

 

DVDかブルーレイを買ってもいいし

 

映画専門チャンネルで録画してもいい

 

 

万人が好むとは限らないが

 

この映画を評論できるような映画評論家や

 

エッセイストが 現代日本には必要なことは間違いない

 

 

日本には「話芸」という宝がある

 

一番身近なのは落語かもしれないが 神田松之丞(現・伯山)と

 

その師匠 神田松鯉はすばらしい芸をもっている

 

講談です

 

戦国時代の話もいっぱいあります

 

 

歌舞伎俳優の尾上松緑は 講談を聞きながらこれは歌舞伎芝居になると考え

 

実行した男である

 

 

そいうセンスのある映画人は もっともっと必要だし

 

アニメ映画で稼いでいればいいというものでもあるまい

 

 

映画人は日本のあらゆる芸能やタレントから おもしろい素材を引き出すべき

 

 

そういう意味では日本に限らず世界の映画人が大人になるべき

 

恐竜に襲われて「きゃー!」と叫ぶ映画をアメリカ人は何本つくれが気が済むのだろうか

 

DNAで現代に蘇った恐竜ですが 恐竜が生きていた時代は地球の重力が今ほどなく

 

あのような巨大生物が存在できたという説もある

 

 

コメディ映画も必要だが 観客の知性をバカにするような映画は不要

 

だからこそ 講談という地味かもしれないが 話芸は日本の

 

エンターテインメントに必要とされていることを 誰か気がついて欲しい

 

 

そして 大人の映画は大人が観るようにして

 

アニメ映画などは異なる客層が来ることを

 

映画館のマネジメントに知らしめるべきである

 

 

経営的には苦しいかもしれないが よい作品

 

大人の映画を不入りだからといって短期間で上映終了にするのは

 

辞めてもらいたい

 

話題の大人の映画ほどロングランしたら

 

そのこと自体が宣伝になるのではないだろうか

 

 

『エゴイスト』はBL映画であるが

 

BL作品の消費者は男性同性愛者ではなく

 

女性が大多数のファンタジーである

 

 

アジアドラマに日本のアニメといったBL作品は

 

作られれば作られるほどファンが夢中になるのかは

 

知りませんが 最近すっかり聞かなくなった

 

上映館での(女性限定)試写会をやるなど

 

映画ファンの掘り起こしは まだまだ やるべきことがある