銀河パトロール日報 -9ページ目

「ミスの多い見習い」

ワイエは料理人の見習いだ。


結構大きなレストランで働いている。


しかし、ワイエは毎日怒られてばかりだ。


ワイエはミスが多かった。皿を割らない日は


なかった。皿を洗っても汚れが残っている。


野菜を切っても、つながっている。


松茸スープに松茸を入れ忘れる。


動きが遅い。気が回らない。


よくこける等、営業中は目の回るような忙しさ


の厨房の同僚達には邪魔者扱いされていた。


よって、店には気の許せる友達はおらず、


周りには辞めることを期待されていた。


ある日、ランチ営業の後、いつものように


ワイエは怒られて、一人皿を洗っていた。


そこへ、アテカがまかないの皿を洗い場へ


持ってきた。アテカはホールの女の子だ。


アテカは美人で、いつも素敵な笑顔で


仕事をテキパキこなし、彼女目当て


の客も多くいた。彼女はワイエにも


他と同じに挨拶をしてくる唯一の従業員だった。


でも、ワイエは彼女と話をしたことはほとんどなかった。


そんなアテカがワイエ一人の洗い場へやってきたのだ。


アテカ 「お疲れ様です。あら、


まだ洗うお皿たくさんありますね」


そういって、彼女は防水エプロンをして


皿を洗い始めた。


ワイエ 「そんなことしなくていいですから、


アテカさんは休憩してください」


アテカ 「こんなにお皿があったら、ワイエさんの


休憩時間がなくなっちゃう」


ワイエ 「僕はいつものことですから」


アテカ 「昨日もお昼休憩してなかったんでしょ。


休まないとディナー営業に響きますよ」


ワイエ 「アテカさんこそ休まないと疲れますよ」


アテカ 「もうやり始めちゃったし、終わらせるまで


休憩できません」


ワイエ 「そうですか」


アテカ 「フフフ」


ワイエ 「・・・」


アテカ 「皆、いつ辞めるか賭けてますよ」


ワイエ 「・・・」


アテカ 「私も昔同じに賭けられてたんですよ」


ワイエ 「え、そんな、アテカさんが」


アテカ 「だから、わたし頑張ったんです」


ワイエ 「すごいですね」


アテカ 「だから、ワイエさんも頑張ってくださいね」


ワイエ 「え、」


アテカ 「不器用な人が、時間をかけてがんばって


器用な人と同じことができるようになったとき、


周りに優しくなれると思うんです。ワイエさんは


それを証明してください。わたしも頑張って、


それを証明しますから」


ワイエ 「頑張ります」


アテカ 「頑張りましょう」


アテカの助けでいつもより多い洗い物が


いつもより早く終わった。


アテカ 「それじゃ、ディナーで」


ワイエ 「ありがとうございました」


アテカは休憩するのにどこかへ行った。


アテカは自分の考えを既に体現している


とワイエは思った。


その日の営業終了後、ワイエは本国への報告書


を作っていた。簡単な報告書だ。



本部へ


担当調査区で「優しさ」を発見しました。


侵略にはもう少し様子見の時間をください。


                      ワイエ



実はワイエは宇宙人なのだ。


ワイエは他の惑星の調査員で


地球の事を探っていたのだ。


地球に優しさが無ければ、ワイエの惑星軍は


侵略して征服する方針を固めていた。


決定はワイエの報告だけで決まるのではない。


世界に100万人の調査員が様々な地域と


社会に忍び込んでいる。一体、どれだけの


調査員がアテカのような人物に出会い、


ワイエのような報告をするのだろうか。


地球侵略の日は近いとワイエは考えている。








木曜、もんわり空の下で蝉は鳴く

今日、美人に見とれて自転車


でこけそうになった。


この季節は美人が薄着で困ったり、


薄着の美人を見なければ損だという


気持ちに惑わされない大人になりたい。

「覚醒に無自覚」

ブナノは朝目が覚めた。


前の晩は会社の同僚と


遅くまで酒を飲んでいた。


かなりの量を飲んだので、


頭がジンジン痛かった。


ブナノは家を出なければ、


会社に遅刻する時間が


迫っていた。


ブナノの寝ているベッドから


少しはなれたところに飲みかけの


ジュースのボトルを見た。


ブナノは飲みたかった。


体は動かしたくなかった。


精一杯手を伸ばすが、


ぎりぎり届かない。


体は動かしたくないが、


ジュースは飲みたい。


「くそっ」と強く思ったとき、


ボトルがスッと動き、ブナノ


の手におさまった。


ブナノは何も気づかず、


ジュースをごくごく飲んだ。


のどを潤しようやく体を動かし、


服を脱ぎ、シャワーを浴びた。


シャワー中にシャンプーが目に入り、


目を開けられなくなるブナノ。


体を洗いたい、ブナノは手探りで


石鹸とタオルを探すが、


なかなか見つからない。


イライラしだしたとき、石鹸とタオルが


セットですっと動き、


ブナノの手におさまった。


ブナノは何も気づかず体を洗う。


シャワーを終えて、スーツに着替える


ブナノ。着替え終えて、鍵と財布を


探すブナノ。しかし、なかなか見つからない。


前の晩は夜って帰ってきたので、


記憶がない。焦るブナノ。いらいらするブナノ。


その時、鍵と財布がブナノの目の前に


ごろりと姿を現す。「良かった」と


それらをポケットに収めるブナノ。


何か歩きながら食べられるものがないか、


冷蔵庫を探すブナノ。しかし何もない。


途中で買う時間はない。朝のコンビには混むのだ。


またもイライラするブナノ。


その時、コンビニからサンドイッチと缶コーヒーが


瞬間移動して、ブナノのテーブルの上に現れる。


買った覚えのない食べ物を見つけて


喜ぶブナノ。それらを持ち、玄関へ向かうブナノ。


「今日も一日乗り切ろう」と張り切る。



ブナノは気づいていない。ブナノは体に大量の


アルコールを摂取して1晩寝かし、イライラしたときに


超能力を発揮することができることを。



ブナノは何も気づかず、今日も仕事に励む。