入院して10日間くらいは話の内容もなんとか理解出来る感じでした。
怒り出すことも多くありましたが、怒鳴り声が出るくらいでした。
たばこを吸いたくて「買ってこい!」と怒鳴られて泣いてしまった私…
こんなに吸いたいのなら吸わせてやろうと思いました。
主治医も看護師さんもたばこの事を知ってはいましたが、何も言わずに車椅子に乗せてエレベーターを降りて行く姿を何度も見送ってくれました。
そのたばこも4月18日、入院して9日目に忘れました。
あんなに大騒ぎしたのに、大好きだったたばこを忘れてしまった事がとても悲しくなりました。
そして、夫はこの頃から声を出せなくなりました。
何かを言いたいという仕草はある。
でも言えない。
頭の中がまとまらないのか言葉にならないのか声が出ないのかはわからない。
もう夫の声を聞くことが出来ないのかと思うとまた涙が流れました。
それでもうなづいたり、目を合わせたりそういう事は出来ていました。
この時の夫の気持ちはわかりません。
私はこの時、思いました。
夫も私も3回目の脳転移があったら治療は出来ないとは聞いていたが、その場合はどうなるかを聞いていなかった。
最期の時まで話せると思っていたんですね。
私はもちろん、夫自身も…
脳転移が進行すると話が出来なくなります。
言いたい、話したいという気持ちがあっても言葉にならないしうまく頭がまわらないんです。
だから、その事はちゃんと理解しといた方が良かったと思いました。
悲しい話ですが、これが現実でした。