潤side
お待たせ
おう
間に合って良かったな
うん
しょおくん これ買ってきた
あ、ありがと
ラベルを見てクスッと笑って、しょおくんはミルク入りの缶コーヒーを一口飲んだ
しょおくんが、昔よく飲んでたのを買ってきたんだ
メインステージに照明が灯って、いよいよライブが始まる
飲みかけの缶の置き場所を探してるしょおくんに、ここだよって座席の間の缶ホルダーに手を伸ばすと、暗がりの中で二人の手が触れた
一曲目は、ツアータイトルにもなっているアルバムの曲だ
オープニングからバラードをもってくるなんて、さすがだな
左を見ると、しょおくんは膝に置いた手でゆっくりとリズムを刻んでいる
美しい横顔
ずっと前にも、こんな風にしょおくんの横顔を見たことがある
あれはデビューしてから何年目かの、しょおくんの誕生日
その日は朝から雑誌の撮影があって、その後はしょおくんと二人で別の番組のロケに行くことになっていた
お誕生日にしょおくんと一緒の仕事なんて、嬉しすぎる
プレゼントの包みを後ろに隠して、駐車場の移動車で先に待っていると、しょおくんがきて後ろの座席に並んで座った
いつ渡そうかな
車が出発しようとしたとき
あれ？
しょおくんがバッグの中をゴソゴソし出した
どうしたの？
いっけねぇ
どうしたんですか？
マネージャーも前の席から振り返る
控室に忘れものしちゃったみたい
あ、じゃ自分がとってきますよ
すみません
たぶんソファのところだと思うんですけど
わかりました 見てきます
マネージャーが居なくなって、絶好のチャンスだ
しょおくん誕生日おめでとう
あ、ありがとう
っておまえ、朝も言ったよ？
だって、おめでたい事でしょ
何回言ってもいいんだよ
そりゃ そうだけど…
はい、これ
後ろに隠していたプレゼントを、しょおくんに渡す
俺に？
くれるの？
うん
ありがとう、開けていい？
なんだろう
しょおくんが欲しがってたのだよ
えー楽しみ
あ…
リボンと包紙を解いた手が止まった
しょおくん？
遅くなりました
その時、車のドアが開いてマネージャーが戻ってきた
これですよね、忘れもの
あ、うん
マネージャーが手にしてたのは、俺がプレゼントしたのと全く同じCDプレーヤーだった