こんにちは![]()
3月に入って、一気に春の陽気になり、
スキー場の雪もコンディションがあまりよろしくない![]()
ということで、今日はスキー休息日。
久しぶりの読書感想、投稿します![]()
『i』 西 加奈子
西さんの小説、こちらも久しぶりの読了です。
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国内情勢が厳しいシリアで生まれ、
アメリカ人の父と日本人の母の元に養子として
アイがやってきたのは物心がつく前。
高校の数学の授業の時に教師が言った言葉
「この世界にアイは存在しません」
虚数iについて言ったことだが、
周りの友人とは容姿が全く異なり、
出自がハッキリしない養子という境遇から、
この言葉を自分の存在と重ねて受け止めたアイ。
そして、
本来は命さえ失っていてもおかしくない国に生まれたにも関わらず、
今では裕福な両親の庇護の下で暮らしている自分を恥じてもいた。
しかし、親友のミナとの出会いによって、
自分の存在を受け入れられるようになる。
そんなミナもセクシャルマイノリティとして
人知れず葛藤を抱えていた。
生まれも境遇もまったく違う二人は、
その後も暮らす場所も生き方も別の道を歩み始めるが、
いつも心は寄り添っていた。
数学の美しさに魅せられたアイは日本の大学で学び、
東日本大震災の後も日本に残り続ける決断をする。
そして運命の男性と出会う。
両親、親友、愛する夫、
大切な人とのかけがえのない日々の中で、
「血」のつながりではない大切な絆をみつけ、
確かな自分の存在を実感する。
「世界にアイは存在する」
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久しぶりの西さんでしたが、
やっぱり西さんでした!
ストーリーを貫くのは、
人とは違う、自分の存在意義をさがす物語。
今回は、国際情勢や東日本大震災の原発事故も絡んで、
ちょっと政治色も加味されて。
そして必ず性的に生々しい描写も挟み込まれるのも
いつものパターンですね。
でも、これも物語の流れ上、必要なんですよね。
決して生きるってきれいごとじゃないって伝わってくる。
自分が恵まれていることに引け目を感じ、
恵まれない人へ手を差し伸べることが
傲慢なような気がするってわかる気がします。
でも、
他人の悲惨な状況に心を痛めること、
その痛みを大切にするべきだ、というミナの言葉には
深く共感しました。
自分がそれに対してどんなに非力であっても・・・。
なにかと世知辛い昨今、
他人の痛みに心を寄せることが難しいからこそ、
共感する力は尊いんだと感じました。
いつもよりはパンチ力に欠ける気もしたけど、
自分は自分で良いんだ!と勇気をもらえる1冊でした![]()
