治療は淡々と進んだ。
毎日自宅で注射をし、数日おきに卵胞の数と大きさをチェックしに通院。
ポル語に不安があったため、毎回夫に付き添って貰った。仕事を抜け出して貰う事になるので、事前に夫の上司には事情を伝えていた。彼女は自身も三人の子持ちであり、快く理解してくれた。

採卵の時以外は、夫は診察室の中にも入れた。
診察室の仕切りの中にある、例の産婦人科特有のイスがあるエリアにも入り、エコーのモニターを医師の横から覗いて質問したりしていた。
総じて、医師は丁寧で質問しやすい雰囲気であり、看護師や事務方の対応も温かいものだった。

私の場合、卵子を15個採取、そのうち11個が受精し、初期胚として凍結された。
採取に向けて卵巣を刺激し続けていたため、OHSSになっていたので新鮮胚移植は叶わず、移植は翌周期に行った。
Betaでは初めて採卵・培養する人の場合、5〜7日目の胚盤胞まで育てるのではなく、初期胚で凍結するという。
胚盤胞まで待ったが全滅となった場合、初めての人ほどショックで激しく落ち込み、悲観してしまうからだそうだ。

さて、我々夫婦はてっきり体外受精だと思っていたが、後から医師に確認したところ、培養士が判断して顕微受精に切り替えたという。
後から知ったのだが、体外受精になるのか顕微受精になるのかは、精子の状態を見て培養士が臨機応変に対応するシステムだという。
私達は少なからず驚いたものの、良い結果が出ていたので、培養士の機転に感謝した。

ブラジルの法律では、一回に移植できる胚の数は35歳以下は2つまで、36歳〜39歳は3つまで、40歳以上は4つまでとなっているそうだ。
私はこの法律の規定上限である2つの胚を移植、そのうち一つが着床し、妊娠。
無事、出産へと至ったのである。