毎年冬場になると、着る服がないと頭を抱えてしまう。
サンパウロは高原に位置するためか、雪こそ降らないけれど、かなり冷え込む。日中の最高気温が15度前後となっていても、体感温度はもっと低いんじゃないかと思う時がある。
そんな日には暖かな部屋着に身を包んでほっこりしたいものだが、思い立っても入手できないのがサンパウロである。

何も大層な服が欲しいわけではない。家で着るのだから、シンプルで丈夫なトレーナーとかフリースの上下。日本であればユニクロで上下セットで2990円といったところ。
ブラジルにはカジュアル路線ならばRENNERやHeringといったメーカーがあるが、実際に商品を手に取ってみると、なかなか買おうと思えないのである。
理由は、ちょっとクセのあるデザインであったり、生地がペラペラに薄かったり、洗濯に弱そうだったり。
先日も、moletomという私の辞書では“フリース、またはフリースに類似した綿織物”と訳される裏地が付いたトレーナーをネットで購入してみたが、実物はフリースではなく綿を平たくしたような裏地で、洗濯したら白い綿くずがあちこちにくっ付いて後始末に手を焼いた。
海外勢であればGAPやZARAが店を構えているが、関税や輸送費が上乗せされているであろう価格は、部屋着に払おうと思う金額ではない。
何というか、総じてコストパフォーマンスに納得できる服が見つからないのである。

こんなとき、ブラジルに手軽なユニクロや無印良品があったらと思わずにはいられない。
海外に住んでみて初めて、日本製品のクオリティの高さと、それが当地では当たり前ではないことを実感する。
日本の小売業者ではDAISOがブラジルに進出していて、百円ならぬ7.99レアルで販売しているが、その価格でも買いたいと思える商品である。関税や輸送費も考慮すると、むしろ安い!有難い!とさえ思う。
何年か前にはユニクロがブラジル進出を検討しているというニュースがあり、サンパウロのフェスティバル・ド・ジャポンでウルトラライトダウンが展示されていた。一昨年には、無印良品が文房具や日用品のポップアップストアを期間限定でジャパンハウスに出店していた。
しかしその後、どちらも本格的に参入する話は聞かない。コロナ禍に突入してしまった今、それは望み薄だろう。
ため息を吐きつつ、何処かに求める服がないかネットでリサーチする日々である。