朝、ちょっと寝過ごす。

  ワタシ「どわー、オカーサン、早く起きないと迎えにきはるよ!」
  ハハ 「んわ・・・なんで・・・誰が来るのん?」
  ワタシ「デイの人、迎えにきはるって。起きてご飯たべとかな。」
  ハハ 「今日、何曜日?」
  ワタシ「日曜日! デイの日やで。」
  ハハ 「・・・・・しんどい・・・頭、痛い・・・」
  ワタシ「今日は休む?」
  ハハ 「ウン、電話しといて」

デイサービスに電話をして、用件を伝えながらワタシは自分が子供のときのことを思い出していた。

 * * * * *

冬の寒い朝、お布団からでるのが嫌で、学校に行くのがもっと嫌で、なんとかして休みたい・・・と思った小学生のワタシは、体温計をストーブにかざした。
「熱があることにしよう」

しかし、そんなことをチンタラ考えているうちに、体温計はピンと39度まで上がってしまうのだった。(水銀のやつね)

いくらなんでも「39度」はマズイ。
ちょっと温度を下げようとして、降ってたら36度くらいになってしまう。

最新の注意をはらい、36度8分くらいにして、台所で朝食の用意をしているハハのところに、ドキドキしながら「オカーサン、今日は熱あるみたいやから学校休みたい」という。

小さい子のささやかな望みである。
かなえたってもエーがな。

しかしハハは無常にも言うのだ。
「もういっかい、ここではかってみなさい」と。

かくして、小さいワタシのささやかな望みはうちくだかれ、しょーもない小細工をしていた時間がアダになり、遅刻してたりするのである。

でもさー、ワタシ、子供の頃から低体温だったから、36度5分こえたらしんどかったんです。
しかし、ハハは頑なに37度ラインを目安にしていて許してくれなかったのだった。
37度でたら、頭クラクラしてるワイ。

ハハがずるやすみしただけで、コレだけのことを思い出すのである。
ワタシも結構しつこいのだった。
そんな、(その1)に載せたくらいではすまないくらい、オネーチャンというやつは悪いのである。

・クーちゃんがウンコをしてたら、うしろから足を振り上げてお尻を蹴っ飛ばす
 ふりをするし。毎日するしむかっ(怒り)

・オネーチャンの万年床を、クーちゃんが一生懸命整えて、クーちゃんが寝易い
 ように丸くベッドを作っても、「あ、どっこいしょ」とそこに腰をすえた途端
 に襖をあけて立ってるし。
 (そしてオバチャンがそれを観て大笑いする)

・クーちゃんが我慢して、オバチャンとオネーチャンの布団の間で寝てたら、
 とにかく触ってくるし。
 「うー」って怒ってたら、オバチャンに「いつまでもウーいう子はアッチ行き
 なさい!」ってクーちゃんが怒られるし。

・それで、拗ねてクーちゃんの部屋(旧オネーチャンの部屋)に行って、ベッド
 のうえでくつろいでたら、またオネーチャンが来て「何してるのん?」とかい
 うて来るし。
 (誰のせいでココにきてるとおもてるねん・・・)

・オバチャンがちゃぶ台のうえに置き忘れていった、お寿司(巻き寿司とおいな
 りさん)と食べたら「おまえば、キツネかー!」とか言うし。

・オバチャンとオネーチャンが留守にしてる間に、お菓子食べたら、帰ってき
 て「クーちゃん、こ・れ・は・だ・れ・が・食・べ・た・の・か・な・?」
 って、包み紙をクーちゃんの目の前で降ってしつこく言うし。
 (オバチャンとオネーチャンが居なかったんやから、クーちゃんに決まってる
 やん!)



・・・・けど、オネーチャンの「顔面マッサージ」は超気持ちいいねんけどナ。
ふんむー。

最近ハハが面白いことをしないので、日記のネタがないのだ(笑)。

夕食のとき、先日の伯母の電話の内容を話した。
イモートとの確執から、イモートが親戚中に怪文書をまわしてたり、ワタシのことを憎んでたり、話は結構長かったんだけど、その話の最中は覚えてられるみたい。

なんというか、昔と一緒の、ワタシが想像していたとおりの返事が返ってきたので、また「コノヒト、どこがおかしいのかなぁ」と思う。

伯父や伯母に対して迷惑をかけていることへの申し訳なさとか、父祖母と父叔母3への怨みつらみと(笑)、「あの店あってもワタシら、ええ思い出なんかないやんなー」というところとか。

父祖母と店(父の実家)への想いが、ワタシ&ハハとイモートでは決定的に違うのだ。

 * * * * *

んで、ハハと話をしていると、世間の「認知症」に対する先入観に偏りがあることに気がつく。

世間の持ってる「認知症」のイメージは、「マトモな会話なんてできなくて、なんでもかんでもすぐに忘れて、ボーっとしてる」らしい。
または、幻覚をみたり、幻聴をきいたり、暴力的になったり、ウンコで壁に絵を描いたりしてる感じ。

たしかに、病気が進行すると最終的にはそういう感じになってしまうし、誤解を恐れずにいってしまうと、介護施設とか病院にいれて、誰とも話をせずにただただ日々をすごしていたら、そうなっちゃうかもしれない。

ゴール(?)はそこかもしれないけど、そこに行く前に足踏み状態でキープすることはできる。

・・・4年経って進行してなければ、「足踏み」でいいでしょ?

 話せ、笑え、歌え、歩け。

認知症の診断をうけた直後に「バリアフリー」なんぞを考えなくてよかった、と思う。
階段の手すりすら不要かもしれん(ワタシの方が利用頻度高いかも)。
ハハはカップに焼酎の水割りのお湯割りを入れたものを持って、階段が昇れる。
コーヒーショップにいったら、コーヒー一杯くらいならトレイに乗せて階段が昇れる(これはビックリ)。

まぁ、多少前に進んでも「足踏み」のまま、畳の上で死なせてやりたい、と思う。
でもそのためには、早急に今寝ているところを片付けないといけないのだ。

マイミクさんはあっという間に「断捨離」をすませて「すっきりしたー」って言ってはるのに、ワタシはいつまでたっても「イメージトレーニング」のままである。
エライコッチャ。
4年前の3月11日。
その頃ワタシはまだ派遣で働いていた。

確定申告の提出に行くからと、15時に早退させてもらう予定だった。

「そろそろ帰る準備をしようかな」と思った14時40分すぎ。

11階にあるコールセンターが揺れた。

最初はわからなかった。
「アレ?なんかめまいがする?」「ワタシだけ?」とほとんどの人が思っていた。

でもゆっくりとした揺れがだんだんうずまきみたいに大きくなってくると、阪神淡路大震災の経験者の中には泣き出す人もいた。

「地震や! かなり遠いところで。しかもデカイ!」

そう思いながら家に帰った。

家に帰ると、ハハが特番をぼーっとみていた。
(やっぱり、なんか、おかしいな・・)と思いながら、「どこで地震、あったん?」と聞くと、「なんか東北のほうらしい」という。

テレビから流れてくる情報ともいえない情報の切れ端にワタシは釘付けになってしまった。

 * * * * *

あけて土曜日の朝。
ワタシはハハの言うことを聞いて耳を疑った。

その日は、しばらく前から約束していた日で和歌山の海に近いお友達の家に遊びに行くというのだ。

テレビはまだ特番で、日本列島、表も裏も津波警報の赤い縁取りがついているというのに。

「あかん、あかん。今日はあかん。オカーサン津波にさらわれていったら、向こうのお家も迷惑やし、ワタシかてよう探しにいかんで!!」

それでも頑なにハハは出かけようとする。
今思えば、もうこの頃には発病していたのだろう。

あちこちのお友達から係ってくる電話。
「まだ余震もおさまってないし、だんだん南下してきてるみたいやし、また日を改めた方が・・・」とそれらの電話に答えていく。

それでも出かけようとするハハを「ええかげんにせぇ!!」と怒鳴りつけて、ようやく出かけるのを中止させたことを思い出す。

和歌山のお友達のところは無事だったけど、あのあと大雨や土砂崩れや、天災がいっぱいあった。

人間のちっぽけさをおもいしらされた一年。
(今もあちこちで余震?はつづいているけど)


ハハの中で超ど級の事件が起こっていたとは、ワタシはまったく気がつかなかったのだった。
クーちゃんが、ぶぶさんちにきたときは生まれて2ヶ月くらいだった。

オネーチャンが仕事から
帰ってきたとき、玄関をあがったところに大きなダンボールの箱が置いてあって、そのなかに細い首輪とリードをつけたクーちゃんがいた。

今年で10年(ええーーー)。

クーちゃんが、オネーチャンのどこが嫌いか考えてみた。

・オバチャンとオネーチャンのお布団の間でぐっすり寝ているときに、おまんじゅうみたいに丸い
 茶色のお尻を、人差し指で「つん」とつつくこと。

・とにかく、クーちゃんが寝てると邪魔をする。

・最近導入された、豚の鼻とか豚の耳を一生懸命食べているときに、それを取るふりをすること。
 食べるものはその2つしかくれないくせに、とんでもない。

・散歩に行ったとき、ときどきスケボー野郎が「ごごごごっ」て、クーちゃんの大嫌いな音をだし
 てて、クーちゃんが本気で前に進むのを嫌がってて、首輪の中に顔をすっぽり入れて
 地面にへばりついているのに、「大丈夫ーー」といって、力づくで引きずっていくこと。

・テレビにマツコ・デラックスが出ていると「ほらほら、クーちゃん、マツコさんだよー。クーちゃんと
 一緒のお腹してはるよー」とかいいながら、クーちゃんのお腹をプニプニすること。

・おやつを部屋の中に隠していたら、それを掘りかえして捨ててしまうこと。

・そのくせ、ときどきクーちゃんにすがって「いつもありがとねー」(←これはいい)、「ごめんなー、
 ごめんなー、クーちゃんの嫌がることばっかりしてごめんなー。 でもクーちゃんのことが大好
 きやから、意地悪するねんで。 わかるー?」と、しらふでわけのわからんことをいうこと。

クーちゃん、今年の9月で10歳。
毛の色が薄くなってきて、鼻先の黒かったところはほとんど白髪になってしまいました。

オネーチャンはクーちゃんとのコンビでなければ、介護生活持続する自信がありません。
「脂肪玉」を小さくして、長生きしてほしいものです。