嶺太へ


 今日はね、お母さんからめずらしく長いメールがきたよ。

 週末の誕生日について、

 お母さんは誕生日プレゼントにこんなのがいいんじゃないかと。


 「嶺太の誕生日プレゼント決まりましたか?
 まだなら、トーマスレッツゴー大冒険DXもしくは

 わくわくふしぎアクションソドー島、きかんしゃトーマスくみかえいっぱいスペシャルセット、

 トーマス木製レールのセットなんかが興味がありそうです。
 かぶると困るので決まったら教えてください。」


 本当はもう買ってあるんだけど、

 せっかくお母さんが教えてくれたので、

 どうしようか考えています。


 クリスマスにしようかな。


お父さんより

嶺太へ


 お父さんの会社のパソコンのスクリーンセイバーは

 嶺太のアルバムとリンクしていて、

 いろいろな嶺太の写真がスライドショーされる設定になっているんだけど、

 会社の人がそれを見るたびに、

 「似てるね」

 「遺伝子ってあるんだね」

 「確実に親子だね」

 って言ってくれるよ。


 小さい子どもって顔が変わるっていうけど、

 少なくとも今の嶺太はお父さんの小さいころにそっくりです。


 母親の遺伝子がもっとも濃く遺伝する可能性が高いのは

 歯だっていいます。

 お母さんの家の歯はみんなガチャ歯なので、

 ちょっと心配しています。

 この間も早々に虫歯になったし、本当に心配です。


 そろそろトイレトレーニングの時期だけど、

 ちゃんとできてるのかな?


 お父さんは、嶺太は男の子だから、早く自立して

 強くて、たくましくて、世界に羽ばたいてほしいと思っています。

 お母さんは、そうは思ってないみたい。

 ずっとそばにいてほしいんだと思います。


 嶺太の名前をつけるときに、画数を調べていたら、

 「自立心が強く、人情味があり、人の上に立つ器の持ち主」

 って書いてありました。

 占いを信じるわけではないけど、

 お父さんは「嶺太」という名前がすごくいい名前だと思いました。


 でも、お母さんは

 「早く自立しちゃうって書いてあるよ!」とちょっと不満そうでした。


 もちろんお父さんだって、ずっと嶺太のそばにいたいです。


 でも物理的に近くにいるのが父親の役目だとは思っていません。

 いづれお父さんもお母さんも嶺太より早く、

 この世からいなくなるわけだし、

 そうでなくても歳を取っていきます。


 そうなる前に、

 お父さんやお母さんが元気なうちに、

 君が一人で立派に生きて、

 自分の考えで世界を見て、

 自分の中に揺るがない正義とか、

 強さとか、優しさとか、そういうものを身につけてほしいと

 お父さんは思っています。


 お父さんは男だからわかるんだけど、

 女の人と違って、

 男の子は自然に大人にはならないような気がするんです。

 

 旅に出たり、一人になったり、

 痛い思いをしたり、とても悲しいことにめぐり合ったり、

 大事な人に出会ったり、

 友達に感謝したり、

 死ぬような危険な目にあったり、

 考えたり、挫折したり、

 だれかを真剣に愛したり、それを失ったり、

 そういうことがないと、男の子はなかなか「男」にはなれないんじゃないかと。


 だからね、嶺太。

 お父さんは嶺太のこと、本当に愛してるし、

 そばにおいて放したくない気持ちはお母さんに負けないけど、

 でも、それじゃダメなんだって思っているんだ。

 そんなの親のエゴだと思うんだ。


 一緒に長い時間をすごしてあげなきゃいけない

 この時期に離れているのはすごくつらいけど、

 きっと見た目だけじゃなくて、

 中身もお父さんに似てくれているなら、

 きっと大きくなったら、わかってくれるんじゃないかと、

 お父さんは応援してるよ。


お父さんより


 


 





 







嶺太へ


 今日は週末の誕生会用のケーキを予約しに行ったぞ。

 

 恵比寿にあるケーキ屋さんなんだけど、

 どんなわがままなオーダーケーキも作ってくれんるんだって

 ウワサで聞いて、探して行ってきたんだ。


 嶺太はお母さんのところのおいしい甘い果物を食べなれているせいか、

 東京でスーパーで売ってるようなイチゴや、ミカンは

 酸っぱいのか、「ペッ」ってするよね。


 まぁ、口が肥えているのはいいことなんだけど(笑)。

 

 だから、果物は嶺太の好きなバナナや、モモをたくさん使ってもらうことにしたよ。

 

 ココロや、モモカにも声かけたし、

 飾りつけも用意したし、

 食べ物の手配もしたし、

 プレゼントも用意したし、

 あと、なんだ?


 この間、ちょっと鼻をズルズルしてたけど

 頼むから風邪ひいて「これない」なんてお母さんに言わせるなよ。


 17日、楽しみにしてろよ。


お父さんより

嶺太へ


 今日は体育の日で祝日です。

 それで来週の嶺太の誕生日パーティのために

 いろいろ準備の買い物してたんだ。


 西麻布の風船屋さんに行って、

 表参道の絵本屋さんを見て、

 原宿のおもちゃ屋さんを見て、

 代官山の服屋さんを見て。


 もし嶺太と一緒に住んでいたら、

 お母さんと三人で、こんな風に子ども用品屋を回ったら

 楽しいだろうな…って思うよ。


 何を買うってわけじゃないけど、

 嶺太にいろいろ服を合わせたり、

 絵本を読んで聞かせたり、

 木琴のおもちゃや、パズルを試してみたり、

 お客さんできている子どもたちとも遊ぶだろうし、

 疲れたら、三人でお茶をして。


 そんな風にしたいな。


 嶺太。

 これからどうなるかわからないけど、

 お父さんは嶺太のことが大好きです。


 いつだって一緒にいたいけど、

 お母さんがそれじゃイヤなんだってさ。


 でも、お父さんあきらめないから。

 あきらめなくてもいい方法を、

 いま考え中だから、待ってろよ。


お父さんより

 

嶺太へ


 嶺太、今日はムチャクチャ楽しかったな。

 

 天気予報では雨だって言ってたけど、

 見事に昼には晴れたから

 港区民祭りでまんまとミニSLにも乗れたし、

 ちぃバスの運転席にも乗れたもんな。


 嶺太ははたらく自動車大好きだからね。


たにぃ家の戦争。

 それにしてもお前の晴れ男っぷりには

 ほんとに脱帽だよ。

 お父さんもテルテル坊主をかけておいたけどさ、

 朝には雨降ってたのに、

 お前が東京来たら一発だもんな!


 お祭りでもらった

 清掃車のミニカー、大事にしろよ。


お父さんより