嶺太へ


 お父さんの会社のパソコンのスクリーンセイバーは

 嶺太のアルバムとリンクしていて、

 いろいろな嶺太の写真がスライドショーされる設定になっているんだけど、

 会社の人がそれを見るたびに、

 「似てるね」

 「遺伝子ってあるんだね」

 「確実に親子だね」

 って言ってくれるよ。


 小さい子どもって顔が変わるっていうけど、

 少なくとも今の嶺太はお父さんの小さいころにそっくりです。


 母親の遺伝子がもっとも濃く遺伝する可能性が高いのは

 歯だっていいます。

 お母さんの家の歯はみんなガチャ歯なので、

 ちょっと心配しています。

 この間も早々に虫歯になったし、本当に心配です。


 そろそろトイレトレーニングの時期だけど、

 ちゃんとできてるのかな?


 お父さんは、嶺太は男の子だから、早く自立して

 強くて、たくましくて、世界に羽ばたいてほしいと思っています。

 お母さんは、そうは思ってないみたい。

 ずっとそばにいてほしいんだと思います。


 嶺太の名前をつけるときに、画数を調べていたら、

 「自立心が強く、人情味があり、人の上に立つ器の持ち主」

 って書いてありました。

 占いを信じるわけではないけど、

 お父さんは「嶺太」という名前がすごくいい名前だと思いました。


 でも、お母さんは

 「早く自立しちゃうって書いてあるよ!」とちょっと不満そうでした。


 もちろんお父さんだって、ずっと嶺太のそばにいたいです。


 でも物理的に近くにいるのが父親の役目だとは思っていません。

 いづれお父さんもお母さんも嶺太より早く、

 この世からいなくなるわけだし、

 そうでなくても歳を取っていきます。


 そうなる前に、

 お父さんやお母さんが元気なうちに、

 君が一人で立派に生きて、

 自分の考えで世界を見て、

 自分の中に揺るがない正義とか、

 強さとか、優しさとか、そういうものを身につけてほしいと

 お父さんは思っています。


 お父さんは男だからわかるんだけど、

 女の人と違って、

 男の子は自然に大人にはならないような気がするんです。

 

 旅に出たり、一人になったり、

 痛い思いをしたり、とても悲しいことにめぐり合ったり、

 大事な人に出会ったり、

 友達に感謝したり、

 死ぬような危険な目にあったり、

 考えたり、挫折したり、

 だれかを真剣に愛したり、それを失ったり、

 そういうことがないと、男の子はなかなか「男」にはなれないんじゃないかと。


 だからね、嶺太。

 お父さんは嶺太のこと、本当に愛してるし、

 そばにおいて放したくない気持ちはお母さんに負けないけど、

 でも、それじゃダメなんだって思っているんだ。

 そんなの親のエゴだと思うんだ。


 一緒に長い時間をすごしてあげなきゃいけない

 この時期に離れているのはすごくつらいけど、

 きっと見た目だけじゃなくて、

 中身もお父さんに似てくれているなら、

 きっと大きくなったら、わかってくれるんじゃないかと、

 お父さんは応援してるよ。


お父さんより