$All I want is you.

監督 ベネット・ミラー
制作 マイケル・デ・ルカ
   レイチェル・ホロヴィッツ
   ブラッド・ピット
出演 ブラッド・ピット
   ジョナ・ヒル
   フィリップ・シーモア・ホフマン
   ケリス・ドーシー


【解説】

 低迷していた貧乏チーム、アスレチックスを革新的球団運営で常勝チームへと作りかえた実在のゼネラルマネージャー、ビリー・ビーンの成功物語を、ブラッド・ピットの主演で映画化した感動ドラマ。
 高校時代は花形選手だったものの、プロでは大成することなく引退したビリー・ビーン。その後、若くして弱小球団アスレチックスのGMに就任するが、長らく低迷を続けるアスレチックスは財政的にも厳しく、選手の補強すらままならない状態だった。そんな体たらくに喘ぐ2002年、名門イェール大の経済学部を卒業し、インディアンズのスタッフとして独自に選手のデータ分析を行っていた青年ピーター・ブランドと出会う。自らのチーム強化ヴィジョンに不可欠と見込んですぐさまピーターを引き抜き、彼のデータを重視した斬新な選手評価を基に、安い選手を買って勝てるチームをつくる独自の経営戦略を打ち立てていくビリー。しかし、その常識破りの方針と、彼の短気で独善的な性格が周囲の反発を招き、チームは結果を出せない状態が続く。それでも、ビリーは確固とした信念で戦略を貫き通すと、次第にチームは勝ち星を重ね、ある奇跡を呼び起こす…。



せっかくの目利きで仕入れた選手を大事に育ててきたのに
その選手が大きな成績を残すと金持ち球団に奪われてしまい、
かといって優れた選手を迎え入れるような金銭的余裕もなく、
八方ふさがりな状況の貧乏球団アスレチックス。
しかし、ゼネラルマネージャーのビリー・ビーンは諦めずに
スター性に乏しく他球団からは魅力的に移らないものの、
出塁数は稼げる選手を集めて数字で勝つという新しい理論にチャレンジする。
最初は、仲間からの理解を得られずにチームは低迷するが、
やがて崖っぷちで選手や監督陣を熱く口説いて、ついには結果を残す。

なんだか、この大きな敵にチャレンジする逆転劇、
信じるものを貫く根性。

熱いじゃないですか!
なんだか自分の仕事を翻って、
「よし、明日からガンバるぞ!」という気にさせてくれる映画です。

すでにネタばれ気味ですが、
主人公ビリー・ビーンには別れた奥さんとの間に12歳の娘がいます。
元妻とその新しい旦那と一緒に住んでいますが、
同じオークランドに住んでいるらしく、たびたび娘と会うシーンがあります。
この娘役ケリス・ドーシーの歌う歌がとても美しくて
ちょっと涙を誘います。
「パパ、わたし一人でまよっているの」

娘が携帯電話を持っていることを知ると
「早くないか?」と新しい旦那の前で元妻にいうと
「あら、何かあったら大変と思って持たせているのよ」と応えます。
「そうそう」と新しい旦那が相づちを入れると
「あんたは黙ってろ、これは彼女とオレの問題だ」という。
つまり娘の教育、養育、監護にかかわることは
明らかに遺伝的な両親の責任だというわけです。

ビリーのチームは優勝こそしなかったものの、
連続20連勝という歴史的な記録を打ち立てます。
その成功を手にして、
ビリーにはインディアンスから破格のヘッドハンティングがあります。
しかしインディアンスの本拠地はオハイオ、
カルフォルニアからは遠くはなれている。

そうして娘からのcdを聞きながら、
ビリーは考えて、そしてそのオファーを断るシーンがある。

仕事か。
別れた妻といる娘か。

どちらを取るのが正しいとは決して言えないと思う。
妻と別れた理由には映画では触れないが、
その選択も結局まったく自分に非がないわけじゃないだろう。

ビリーは古巣の世話になった球団と、娘を選んだ。

実は今朝、朝のニュース番組でハーグ条約に関するニュースがあった。
ハーグ条約の中身はいろいろあるのだが、
今、問題になっているのは国際結婚の破綻における子の監護等を決める裁判は、
もともと夫婦が住んでいる国で行うべきだから、
勝手に国外に出てはいけなくて、
もし片方の親が連れ去った場合は、元の居住国に引き渡しなさいねというもの。
詳しくは↓

ハーグ条約

で、コメンテータたちが
・日本ではいままでの文化的に容認はされづらいだろうけど先進国でハーグに加盟していないのは日本だけだ
・アメリカの場合、日本人の女性は離婚とともにグリーンカードを失うので、実際にはアメリカに住むことができなくなり、結果として日本に帰ってこざるを得ないのでアメリカに住む子どもとは会えなくなる(でも逆の場合もしかりなのだが)
といったようなことを話していた。

永遠を誓う伴侶に出会えることが人生の大きな影響を与えるように、
離婚だってそれにともなって無傷ではいられない。
夫婦がそれによって人生になんらかの足かせをはめられるのは、
結婚という人生を選んだ時点で当然の責任だと思う。

ただし、その二人の間に生まれた子どもは本当に純粋な被害者だ。

たとえばそれを子どものせいにして
「お前がいたから諦めた」と責任転嫁するような親ならば、
子どもと離れて生活するのも1つの選択だと思う。
また、世界を変えるような仕事と天秤にかけるのも難しい選択だと思う。

ただ、そのいづれの場合でも、
やはり子どもは両親に見守られながら大人になるのが
理想的というは1つの方向性だ。

でも、今の僕にはこの方向性を手放す他の選択肢、
他の価値観が見当たらない。
息子の無邪気な笑顔や、
「おとーしゃん」としがみつく小さな腕に匹敵するような価値を
残念ながら今の仕事に見いだせない。

いつか、そういうことが見つかることがあるかもしれないが、
今は、本当に彼のそばで彼の成長をサポートしてあげたいと思う。

そういう意味でも、なんかビーンの物語と、娘の歌声に涙しちゃったのかもしれないな。