日米が東アジアの軍事的な緊張と高める中、中国で中央軍事委員会副主席が失脚
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202601280000/ 2026.01.28 櫻井ジャーナル
中国の国防省によると、中央軍事委員会(CMC)の副主席で、中国共産党政治局員でもある張又俠に対する調査を開始したという。軍の内部で張は習近平国家主席より多くの人脈を持つと言われ、アメリカの支配層との結びつきも強い。中国政府は軍への影響力を強め、国内の結束を強めようとしているのかもしれない。
1月24日に発表された声明では、「重大な規律違反および法律違反」の疑いがあるとされていたが、詳細は明らかにされていない。昇進させる代償として賄賂を受け取っていた容疑がかけられていると言われているが、アメリカのウォール・ストリート・ジャーナル紙は1月25日、張又俠が中国の核兵器開発計画に関する情報をアメリカへ漏らした疑いがあると報じている。
こうした情報が正しいのかどうかは不明だが、ウクライナでロシアに敗北したアメリカはベネズエラ大統領を拉致したのに続き、イランを攻撃する姿勢を見せ、東アジアでは日本を使って軍事的な緊張を高めている。
本ブログでは繰り返し書いてきたように、日本の軍事力増強は1992年2月にアメリカ国防総省で作成されたDPG(国防計画指針)の草案に基づいている。この指針は当時、国防次官を務めていたポール・ウォルフォウィッツが中心になって書かれたことから「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれているものだ。
このドクトリンの前提は1991年12月のソ連の消滅でアメリカは唯一の超大国になったということ。ネオコンはそのように確信、世界制覇戦争を始めようとしたのだが、そのドクトリンにはドイツと日本をアメリカ主導の集団安全保障体制に統合し、民主的な「平和地帯」を創設すると書かれている。ドイツと日本をアメリカの戦争マシーンに組み込み、アメリカの支配地域を広げるというように理解できる。
また、旧ソ連の領土内であろうとなかろうと、かつてソ連がもたらした脅威と同程度の脅威をもたらす新たなライバルが再び出現するのを防ぐことが彼らの目的だともしている。西ヨーロッパ、東アジア、そしてエネルギー資源のある西南アジアが成長することを許さないということだが、東アジアには中国だけでなく日本も含まれている。
こうしたアメリカの独善的な計画が危険だということを日本の政治家も理解していたようで、1993年8月に成立した細川護煕政権は国連中心主義を打ち出して抵抗するが、94年4月にこの政権は崩壊。1994年6月から自民党、社会党、さきがけの連立政権で戦ったものの、押し切られている。
日本側の動きを潰したのはネオコン人脈だ。マイケル・グリーンとパトリック・クローニンはカート・キャンベル国防次官補(当時)に日本の動きを危険だと報告、1995年2月になるとジョセイフ・ナイは「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」を発表してアメリカの政策に従うように命令した。そのレポートには10万人規模の駐留アメリカ軍を維持し、在日米軍基地の機能を強化、その使用制限は緩和/撤廃されることが謳われている。
沖縄ではこの報告に対する人びとの怒りのエネルギーが高まるが、そうした中、3人のアメリカ兵による少女レイプ事件が引き起こされ、怒りは爆発する。日米政府はこの怒りを鎮めようと必死になったようだ。
こうした中、1994年6月に長野県松本市で神経ガスのサリンがまかれ(松本サリン事件)、95年3月には帝都高速度交通営団(後に東京メトロへ改名)の車両内でサリンが散布された(地下鉄サリン事件)。松本サリン事件の翌月に警察庁長官は城内康光から國松孝次に交代、その國松は地下鉄サリン事件の直後に狙撃された。
1995年8月にはアメリカ軍の準機関紙と言われているスターズ・アンド・ストライプ紙に85年8月12日に墜落した日本航空123便に関する記事が掲載された。この旅客機が墜ちる前、大島上空を飛行していたアメリカ軍の輸送機C130の乗組員だったマイケル・アントヌッチの証言に基づく記事で、自衛隊の責任を示唆している。この1995年以降、日本はアメリカの戦争マシーンへ急ピッチで組み込まれていく。
アメリカでジョージ・W・ブッシュ政権が登場した2001年の4月に小泉純一郎が総理大臣に就任、その年の9月11日にはニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃され、アメリカはネオコンの予定通り、世界征服戦争を開始、日本も従うことになる。
自衛隊は2016年に与那国島でミサイル発射施設を建設、それに続いて2019年には奄美大島と宮古島、そして23年には石垣島でも施設を完成させた。
こうした軍事施設を建設した理由をアメリカ国防総省系のシンクタンク「RANDコーポレーション」は2022年4月に発表した報告書で説明している。GBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲するというアメリカ軍の計画に基づいているのだ。中国を軍事攻撃する準備にほかならない。
この報告書が作成された当時、アメリカは日本が掲げる専守防衛の建前、そして憲法第9条の制約を尊重していた。そこでASCM(地上配備の対艦巡航ミサイル)の開発や配備で日本に協力するという形にするとしていたのだが、2022年10月になると「日本政府がアメリカ製の巡航ミサイル『トマホーク』の購入を米政府に打診している」と報道されている。
核弾頭を搭載でき、亜音速で飛行、最大射程距離2500キロメートルの巡航ミサイルを日本政府は購入するというのだ。中国に対する戦争を準備していると見られても仕方がない。
日本では陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊を一元的に指揮する常設組織として昨年3月、敵基地攻撃能力を一元的に指揮する統合作戦司令部が編成された。これは2015年5月から18年5月までアメリカ太平洋軍の司令官を務めたハリー・ハリス海軍大将の提案に基づくという。
ハリスが太平洋軍司令官から退いた2018年5月、アメリカ軍は太平洋軍をインド太平洋軍へ名称変更しているが、そのインド太平洋軍司令部と調整することが自衛隊で統合作戦司令部が編成された理由だという。自衛隊はアメリカ軍の指揮下に入るということだろう。
統合作戦司令部が編成された理由として「台湾有事」を挙げる人もいるようだが、高市早苗首相は昨年11月7日、衆院予算委員会で「台湾有事」について問われ、「戦艦を使って、武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になりうるケースだ」と発言した。
歴代の日本政府と同じように高市首相も「ひとつの中国」を受け入れているようなので、彼女の発言は中国で内戦が始まった場合、日本は中国に対して宣戦布告するという意味になる。干渉戦争だ。
また、高市首相は11月11日、衆院予算委員会で「核を保有しない、製造しない、持ち込まない」という非核3原則を堅持するかどうかという質問に対して明言を避けている。本ブログでは繰り返し書いてきたことだが、アメリカのCIAやNSAの分析官は日本が核兵器を開発していると確信、監視してきた。
高市首相の台湾有事に関する発言を単純な「舌禍事件」だと理解するべきではない。その背後にはアメリカの対中国戦略があり、その戦略に従う日本の動きがある。日本で中国を敵視する雰囲気が作られているのも戦争の準備だろう。そうした東アジアの状況に張又俠は対応できないと習近平国家主席は考えたのかもしれない。
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