「成瀬さん…これは?」

「朝食です」

「どうしてこんなにその…豪華、なんですか?」

「あなたがいつも食べてくれないからです」


いつものように淡々と言葉を並べる成瀬さんに首を傾げつつ、時間に余裕のあった俺は全ての料理を食べつくした。

豪華だったし旨かったし…なにより心配してもらえたような気がして嬉しくて。

連日メシ抜きで仕事にいったことを少し後悔したくらい。

それから俺は満腹になった腹を撫でながら時計を見て席を立とうとした。


「…っ成瀬さん!?」

「ん…」


その時だった。

前を見たら成瀬さんが珍しくウトウトと体を前後に動かしていたかと思うとグラッと大きく体を横に傾けて。

意識の籠っていない体はそのまま落下態勢に入っていって、俺は慌てて成瀬さんの体を受け止めた。

受け止めると、成瀬さんは目をぱちぱちさせて下ろしてくださいって言葉を呟いたけど。

俺はぐいっと彼の少し軽い体を持ち上げた。

お姫様抱っこ状態の成瀬さんは顔を朱色に染めて何か言おうとしたけど、疲れがたまっていたのかまた眼をつむり今度は本当に寝息を立て始めた。


「成瀬さん?」


昨日遅くまで仕事でもしてたのか?

すーすーと小さな寝息にちょっと幸せそうな寝顔。

天使…か。

俺はくすっと笑って成瀬さんの部屋のドアを開けた。

そしてゆっくりとベットに下ろしたとき、なんとなく彼の部屋に違和感を覚えた。

いつもきっちりと整えられた彼の部屋に大量の本が散らかっていたのだ。


「六法全書に…ん?」


これって…。

俺は床中に散らばった本を見渡した。

すると法律関連の本に混ざって所々に付箋を付けられた本があって。

そしてそれらをよく見ると。


「和食…洋食のツボ…朝食とは…朝食のすべて…夕飯にはちょこっとひと工夫……」


料理本?

俺がベッドに横たわった成瀬さんの顔を見ると、その横にページの開かれた本があった。


「…今日の、朝メシ?」


写真の横にはメモ用紙もあって。

俺はそれを手にとって読んでみた。


“27日の朝食。バターを入れると風味がでる。仕込みに最低3時間。夜食にも使うので多めに。2時”


2時?

ん?って。俺は成瀬さんの目覚まし時計を手に取り確かめると、起床時刻が1時50分になっていて。

もしかして…この人2時起き?

起きて、そんな早くに起きて俺の飯作ってた?


「成瀬さん…」


手に取ったメモ用紙を裏返すと、端っこのほうに小さな文字で更に綴られていた。


“芹沢さんが食べてくれますように”


俺の…ため?

“あなたがいつも食べてくれないからです”

そっか…俺が…。

成瀬さんが作ってくれるものならなんでも旨いのに。

気遣ってこんなに本買って勉強してろくに寝ないで料理して。


「領」


いってきます。

俺はそっと毛布をかけてこっそりと部屋から出て鞄を手にかけた。

靴をはいて玄関に立つ。





週末、どこへ連れて行ってあげようか。









fin...


直領(・∀・)

推敲することを放棄(・∀・)

テキトーに書いていくことに決めますた(-∀-)