「成瀬さん…」
「芹沢…さん…」


何故だろう。
自分の部屋に殺人犯がいる。


「言ってたじゃないですか」
「何を…ですか」
「タロットカードが…あなたに…っ」


私を真正面から抱きしめて、殺人犯は切実そうな声を出した。
その腕から逃げ出そうと試みると更に強く抱きしめられ、そのまま壁へと押し付けられる。


「どういうつもりですか」
「俺のせいであなたまで…すみません」
「謝る必要など…」
「いえ…ッすみません…成瀬さん…」


“成瀬”さん。
あなたが私を“成瀬”と呼ぶ度、自分が成瀬領であることを否定したくなる。


何故あなたは私に謝るんです?
何故あなたは僕に謝ってくれないんです?
ずっとずっと、僕は待っていたのに。
弟を“死んで当然”の人間にされたあの日から。
2度、弟を殺されたあの日から。
僕はずっと待っていたのに。
あなただけを見て生きてきたのに。


「離して…ください」
「成瀬さん…っ」


その名で呼ばれれば呼ばれるほど、自分の中の間中友雄が明確に浮き彫りになっていく。


「俺の気持ち…わかってください」
「っ…んンッ…ぁ…芹沢…さ…」


隠したはずのキレイな自分が、殺人犯によってケガサレル。


「好きなんです…」


何故私なんですか?
何故僕じゃない?


ガチャッと後ろ手にドアノブを握りしめた。


僕のことを愛してください。
僕から全ての愛を奪った、そのあなたにカセラレタ罰を。
生きるということの愚かさを。
僕の前で懺悔してください。
私と同じ殺人犯が救われる唯一の方法を、僕があなたに与えます。


ゆっくりと開いた扉から赤い光が滲み出した。


陰った色は血のような生々しさを放ち、僕とあなたを包み込む。
なんて、キレイなんだろう。
僕が復讐を思い描いて来た世界にあなたを招待しましょう。
さあ喜んでください、あなたが1番最初のお客様です。
そして。

「あっ」


1番最後の、お客様です。







「僕ヲ愛シテクダサイ」













fin...


直人×領(・∀・)

ドラマにもいろいろな楽しみ方があるんです(-∀-)