寅  「私も学問がないから、いままで、つらいことや悲しい想いを


    どれだけしたかわかりません。


    ほんとうに私のような馬鹿な男はどうしようもないんですよ」

僧侶 「いやそれは違う。


     己の愚かしさに気づいた人間は愚かとは言いません。
   

     あなたはもう利口な人だ。・・・己を知る。


     これが何より大事なことです。      
  

     己を知ってこそ、他人も知り、世界も知ることができる

     

     というわけです。」


寅   ・・・・・。     


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寅  「姉ちゃん、本が好きかい。


    姉ちゃんは、何のために勉強しているんだい?」


礼子 「さあ・・・」


寅  「考えてみたことは、ねえかい?」


礼子 「そうですね・・・つまり・・・」


寅  「 己を知るためよ 」