過日、大阪で一杯。
約2か月前にも泊まった梅田のホテルの部屋に荷物を置いて、前回も寄った近くの店で冷やしトマトとオムそばでビール&ハイボールをやったあと、阪急の大阪梅田駅へ。
京都本線、神戸本線、宝塚本線の3線がここを始発駅としており、よく磨かれたホームに艶を帯びた車両たちが出入りする様を眺めるため、阪急に乗る用事がなくても立ち寄りたくなる「私鉄王国」関西を象徴するターミナル。
京都本線にはホームドアどころかホーム自体がないので、中津で降りるには神戸本線か宝塚本線の各駅停車に乗る必要がある。
前回こちらを訪れたのは約9年前。阪神タイガース戦のテレビ中継で盛り上がる満席に近い店内で、先輩と一杯やった記憶が蘇る。 もう少し呑みたい気持ちなので、店に入ってカウンター席に腰を下ろしチューハイを注文。先ほど粉モンを食べたばかりで腹は減っていないから、アテは豆もやしとタコ酢で。

今回もテレビで野球中継が流れており、タイガースが広島に3点差で負けている。
前回と違って客の姿は少なくカウンターには私だけ。チューハイを呑み終える頃に入ってきた若い男性が2つ隣の席に腰掛けた直後にタイガースが1点を返すが、彼は野球に興味がないらしく、スマホの画面に目を落としたまま、どて焼きでビールを楽しんでいる。
前回同様に逆転サヨナラもありうるかも知れないぞと、熱燗とマグロ刺身を追加して画面に見入る。

熱燗をコップに注ぐ時には2点差のまま試合が終わり、店員さんは残念がっているものの、どこか余裕が感じられるのは、初の2連覇に向けてタイガースに優勝マジックが点灯しているからだろうか。
開け放たれた引き戸から、9月にしては涼しい風が流れ込んでくるカウンター席で熱燗をやりながら、あらためて店内の雰囲気を味わい直す。
実は「いこい」さんは来年閉店するとの噂があったので、店の雰囲気を再確認するとともに、噂の真偽を確かめたくて立ち寄ったフシもある。
野球中継が終わり一段落ついたからか、カウンターの端には女将さんらしき方がのんびりした表情で座っており、話かけるには絶好のチャンス。
けれど、熱燗で温まった体を心地よくなでる涼風に、閉店云々よりも今の時間を楽しめと戒められられているような気がして、ゲスな質問を飲み込む。
こうして、9年ぶりに中津を訪れて野球を観ながら熱燗をやれたのだから十分じゃないか、そう感謝しながら会計を済ませ、狭いホームから電車に乗って梅田に戻った。
(おわり)


