【276】でべらで1杯 | 酔いどれパパのブログ

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「お風呂」と「酒」と「路線バス」に関する駄文を書き連ねております。

【275】からのつづき


アーケードの商店街を歩きながらメシの喰えそうな店を探すが、午前10時前という時間のせいかシャッターの降りている店舗が多い。

駅まで戻ればカフェやコンビニなんかがあったなぁ、と半ば諦めながら商店街を進むと、「まかない食堂」「地魚丼」の看板を発見。

近づくと「営業中」の札が出ており、迷わず店内に入ってカウンター席に座り、数あるメニューの中から看板にあった地魚丼を注文する。
地魚というだけあって、ありきたりのマグロなどは載っておらず、いかにも目の前の海で小舟に採られたような魚が盛られている。

聞けば白身の魚は、地元で「でべらかれい」と呼ばれ干物に用いられることの多い小振りのカレイを捌いたもので、丼にはでべらの骨せんべいと豚汁、小鉢が付く。
地魚と小鉢の惣菜をつまむと、当然酒が吞みたくなる。

午前中に吞まないのは私の酒に関する数少ない理性の一つだが、昨日広島入りしてから、缶入りのジントニックで「はしまき」なる粉モンを昼メシ代わりにして、夜はホテルの部屋でコンビニメシで缶チューハイという粗酒素餐で乗り切ったので、今日は朝から魚で1杯やったっていいじゃないか、と自己弁護して「日本酒下さい」と注文すると大将が「常温でいい?」と返してくれる。

でべらで冷や酒(今では冷酒を冷や酒と呼ぶことが多いが、かつては燗をしていない日本酒を指したもんです)なんて、漁師メシみたいでいいじゃないか。

酒は穏やかにして旨みがあり、大将に銘柄を尋ねると、先ほど三原を出てすぐに酒蔵が左の車窓に見えた「 酔心」とのこと。

大将の「皆さん他の高級な日本酒をさんざん吞んでも、結局最後は酔心が落ち着くとおっしゃるよね。オレは吞まないけど」とのご説明に納得の吞み飽きしないテイストの酔心をチビチビやっていると、イケメンと美魔女の2人連れが入ってきた。
(つづく)