【252】からのつづき
乗り込んだ万葉線7071号車は昭和42年製造のベテラン車両で、古きよき路面電車の雰囲気にあふれている。
車窓に高岡大仏をチラリと見てから、富山県道24号を北西に進んで車両基地のある米山口に着く頃には、あれほど降っていた雨が上がっている。
車両に惹かれて衝動的にスタートした万葉線初乗りの旅だが、これなら乗り降りしながら沿線を見て回ることができそう。
そう思い、高岡駅~越ノ潟間のほぼ中間に位置する新吉久停留所(万葉線にはネーミングライツで社名などが付された停留所名・駅名も多いが、ここではそれらを省略。以下同じ)で下車。
対向の高岡駅行きも旧型車両で、しばし行き違いの光景を眺めてから5分ほど歩いてこちらのエリアへ。

国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)に指定されている吉久地区で、江戸後期から明治期に建てられたこの地域独特の農家風の間取りや造りを残した町屋建築が保存されている。
重伝建の街を歩くのは6月の佐賀県肥前鹿島、塩田津、北海道函館元町末広町に続き今年4カ所目。
お風呂と酒と路線バスの三題噺を中心に綴ってきたこのブログで、ここ数年ちょこちょこ重伝建の話題が上がるようになったのは、古い町並みにその土地の重ねてきた時間を想像するのが酒蔵巡りに通ずるものを感じるようになってきたから。
吉久の街を抜けて先ほど降りた新吉久の一つ先の停留所に立つと、あのキャラクターのラッピングを施した電車がやってきた。
(つづく)