【97】からのつづき
松本には息子を伴って何度か訪れているが、最後に連れてきたのは15年ほど前なので、大学生の彼にとっては初めても同然。
という訳で、松本市内観光の王道である国宝松本城をまず訪れ、松本神社、旧開智学校(耐震工事につき閉館中でした)など歩いて回ることのできる範囲をぶらぶら。
途中、市街地のあちこちに湧いている井戸の水で喉を潤し、足を休めながら日蔭を抜ける信州の風を味わう。
この後宿泊して、翌日に上高地や乗鞍岳に向かうことができれば言うことなしだが、息子は日帰りなので松本城周辺を歩いてから、そばを喰うということ以外に決めてこなかった。
雨上がりで気温が30度に達して蒸し暑くなり、歩いているうちに汗が止まらなくなってきたので上土に戻り、涼みがてらジョニー志田さんのトークショーを聞く。
「涼みがてら」とはジョニーさんに失礼かも知れないが、私の分しか事前に予約していなかったので、開演後に当日分が余っていたら、息子に上土劇場の昔ながらの映画館の雰囲気とジョニーさんのトークを味わってもらおうと考えていた。
幸い当日分枠で入場させていただくことができ、ジョニーさんのトークショーと、その後の映画上映のアタマだけ楽しんで、ソバを食いに劇場を出て松本駅に向かう。
14時過ぎに馬刺しやモツ煮をつまみながら1杯やることのできる駅チカのそば屋と言うことで、去年の冬にも入ったこちらへ。
まずは生ビールと桃ジュースで乾杯して喉を潤し、馬のモツ煮を頬張る。



松本での一献には馬刺しが必須だと信じてやまないが、14時にしてすでに品切れとなっており、単品の穴子天に添えられた野菜天と、そば刺身で2杯目を頼むべくタッチパネルのメニューに目をこらす。


すると、信州の地酒は全て品切れ表示となっており、これは夜に備えてあまり吞むなとの啓示だと思い、「大特価」の文字が添えられた缶入りのそばビールなる飲み物を注文。

品切れ表示は、ランチタイムの客の回転を上げるための措置だろうかと勘ぐりながら、そば刺身でそばビールをグビリ。

定価770円が350円まで引き下げられていたので、あまり期待せずに注文したそばビールは予想通りの代物で、賞味期限が翌月となっているところをみると終売前の在庫処分価格といったところか。
息子は大海老天ざると穴子天を満足そうに食べ進めており、その光景を眺めながら、微妙な風味のそばビールを吞む。

できることなら、新そばの季節になってからクルマで松本周辺の名物そば屋巡りに連れて行きたいが、まずは近いうちに昔よくやった都内そば屋巡りをしようと約束する。
満腹満足になり、少し涼しくなった松本駅前でしばしバスの出入りを眺めてから、改札を抜けて「あずさ」に乗り込んだ息子を見送る。
再び改札を通り駅前に出てホテルに投宿。これから始まる夜の部に備えて浴槽に浸かり、湯上がりに缶チューハイを1杯だけ吞んだ。
(つづく)