バスつれづれ(26) | 酔いどれパパのブログ

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「お風呂」と「酒」と「路線バス」に関する駄文を書き連ねております。

(前ページからのつづき)


ライトラインで宇都宮駅東口に戻ると15時近くになっており、新幹線に乗るまでの約1時間で遅い昼食を摂ろうと西口に抜ける。


以前入ったことのある駅前の餃子屋でさっと済ませようと足を向けると、ランチタイムでもないのに長蛇の列。もう1つ目星を付けた店舗ものぞいてみるが、こちらも店の外まで待ち客があふれている。


宇都宮名物とはいえ、並んでまで餃子を食べようとも思わないので、近くの宮の橋で田川の流れを眺めてから、駅ビルで寿司でもつまもうと歩道を進むと、ガラガラのラーメン屋を発見。


空腹と喉の渇きは限界に近づきつつあったので、この際味は二の次と覚悟を決めて入店し、生ビールと餃子、ラーメンを注文。ガラガラなのが納得の味と内容で、生ビールだけがスムーズに喉を流れた。


覚悟の上だったので腹は立たず、新幹線の発車時刻まで時間が残ったのを幸い、駅前通りに佇んでバスを眺めていると、古めかしいカラーをまとったバスが宮の橋を渡ってくる。

関東自動車のいすゞキュービックLV324で1994年式。

ナンバープレートの「栃木」のあとの種別分類番号が1999年以前に登録されたことを示す2桁の「22」であることが都会からの中古車ではなく、新車の頃から下野の国を走ってきたことを表している。

地方の自社発注車らしく中ドアではなく後ろ折戸で、テールランプも角形ではなく「柿の種」のあだ名もある通称「バス協会型」なのがシビれる。



ラーメンと餃子の無念が吹き飛ぶ「美味」に満足し、残りの時間を駅前ロータリーで過ごしていると、替え玉よろしくこちらの車両も。
こちらもいすゞLV324だが、車体は先ほどの川崎重工に対して富士重工製で、仕様から察するに東武バスからの移籍車。やはりバス協会型テールランプで後ろ折戸なのはデリシャス。

いやあ満腹満足、と駅に向かいかけると、さらにこちらの車両も顔を出して、わんこそば状態。
これまたいすゞLV324だが、さらにボディが変わって、西日本車体工業製。元大阪市交通局の車両で、元東武バスの個体と同じ1993年式。

約20分でLV324をボディ違いの「味変」で3台味わえたのは、あの激マ🔘のラーメン屋に立ち寄って素早くメシを済ませた結果なので、むしろ感謝しなければならない。

関東自動車を傘下に持つ、みちのりホールディングスは、2030年までに宇都宮地区に大型バスの約7割に相当する158台の電気バスを導入し、市内を走る大型バスのほとんどを電気バスに置き換える計画を持っており、徐々にではあるが導入が進んでいる。

電気バスの国内量産が本格化する来年以降は、置き換えが一気に加速することが想定され、今回出会えたベテランバスが姿を消す可能性が高い。

環境に優しいバスが増えるのは喜ばしいことなので、みちのりホールディングスの日本初となる「1都市丸ごと電気バス」の画期的な計画は支持するし、電気バスの活躍が広がる街の風景を目にするのが楽しみだが、地道に下野の人々の足を支えてきたベテランバス達の晩節を見届けるためにも、定期的に宇都宮を訪れる機会を持ちたい。
(おわり)