中10日ほどで、金沢と松本の元京王井の頭線3000系に乗ったことを記したが、松本での乗車から2週間後、今度は群馬県内で再会を果たした。
東武桐生線の終点である赤城駅に着くと、隣のホームには西桐生行きの元3000系である上毛電気鉄道(上電)700型が発車を待っている。

一旦簡易ICカード読み取り機にSuicaをタッチして東武鉄道の出場扱いを済ませてから、窓口で「赤城南麓1日フリー切符」(1300円)を購入。
トイレに寄ったのち上電ホームに向かうと、中央前橋行きの700型が入線してくる。今度は前面上部がパープルに塗られ、車内に七夕飾りが施された716-726編成の「七夕まつり」号。(写真は大胡で撮影)

上電は、臨時以外の全列車が元京王井の頭線3000系の700型で運用されており、編成ごとに七夕まつり号や干支電車、お祭り電車など、異なったコンセプトに基いた装飾が施され客の目を楽しませている。
七夕まつり号の車内に入ると、沿線の幼稚園児の願いが記された短冊を結びつけた笹風装飾が冷房の風に揺れている。

列車はフリー切符の名称どおり赤城山の南麓を進むが、梅雨どきとあって雲間にチラリと山容の一部が見える程度。
全線にわたって土日でも日中30分間隔の運転本数が確保されており、七夕まつり号の車内も座席が3割ほどが埋まっていて、さすが県庁所在地に乗り入れる路線だけはあるなぁ、と感心していると、今日は前橋での七夕まつり開催に合わせて途中駅から旅客係員が乗務するので、無人駅から乗車した場合は中央前橋到着前に車内で乗車券を買うよう、ワンマン運転の車内に運転士の肉声案内放送が流れる。
地方路線の土曜日の昼間にしては乗車率が良く、浴衣姿の若い人や家族連れの姿が多いのも七夕まつりの影響が大きいのかと納得。
上電にはこれまで2回乗っており、最初に乗った25年前は元東武鉄道3000系の吊り掛けモーターのサウンドに酔いしれた。
2回目に乗車した15年前には700型による運用に移行されていたから、今回もその時と同じ車両構成だが、2023年に入り上電から東京メトロの車両により3年で700型を置き換えるとの方針が示されている。
無人駅に停まるたびに七夕まつりに向かうらしき人々が乗ってくる代わりに、後ろの車両から自転車を押して前方へと移動する若者が先頭部のドアから降りていく。
上電の列車は、平日ラッシュ時を除いて車内に自転車を無料で持ち込むことのできる「サイクルトレイン」として運転されており、赤城発車時点ですでに4台が乗っていた。
サイクルトレインは、同じ群馬県を走る上信電鉄や2週間前に乗ったアルピコ交通上高地線をはじめとする地方路線では一般的になっているだけでなく、東京都内を走る西武多摩川線でも実施されているが、上電ほど活発な利用を目にしたのは初めて。
上電では、自転車とともに乗車した場合には後ろ寄りの車両を利用するように案内されており、大宗を占める無人駅で降りる場合には先頭ドアまで1両分以上を自転車を押して移動する必要があり、乗車率が高い場面での流動性や他の客と自転車の接触のリスクが気にならなくもない。
列車は、時折バウンドするような揺れを起こしながら赤城山南麓を進み、駅数で赤城~中央前橋間のほぼ中間地点となる大胡(おおご)に到着した。
(つづく)