(前ページからのつづき)
HIGH RAIL1375は遠くに浅間山を眺めながら千曲川上流域に開けた佐久盆地をのんびりと進む。

佐久地域には13もの酒蔵があり、立ち寄ろうと考えていた八千穂駅最寄りの黒澤酒造さんは、その中でも千曲川最上流域の北八ヶ岳山麓に構える蔵元さんで、列車で行くのが大変な分、ゆっくり歩きながら蔵のまわりの地形や空気を感じたいと思っていた。
実際に酒蔵を訪れても紹介を受けた酒販関係者などでなければ製造場には立ち入ることはできないが、すぐ近くに酒の資料館なるギャラリー&ショップがあり、周辺では酒米の栽培も行われているらしい。
訪れるのが楽しみだと思いつつも、ほろ酔いで昼下がりの車窓を眺めているとHIGH RAIL1375の快適なシートに体が溶けるように馴染んでいき、だんだん立つのが億劫になってくる。
トイレに1番近い場所を選んだ結果、1人席で窓ひとつ分を独占するポジションに当たったので景色もいい。

今日は上田の酒蔵を2つ訪れることができたし、5蔵の酒を味わえた。早起きしてすでに1万歩以上歩いており疲れも出てきている。「どこかにビューーン」で指定された軽井沢からの帰りの新幹線の東京到着は23時過ぎで、自宅に帰るのは日付が変わってからになるが、その時間まで移動するのも辛い。
気持ちは、このまま小淵沢まで乗り続ける方向に大きく傾き、八千穂の酒蔵は次回にしようと決めた。
(つづく)