西東京バスの通勤ライナー | 酔いどれパパのブログ

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「お風呂」と「酒」と「路線バス」に関する駄文を書き連ねております。

過日、西東京バスの新宿~日野・八王子・高尾駅間通勤ライナーに初乗車。

(写真は車両イメージです)


12月某日、新宿の京王プラザホテルでの懇親パーティーが終わったのは19時。


懇親会では白ワインを数杯いただいたので、ほろ酔い加減でのんびり歩いて新宿西口に着くと19時15分。


一杯やった後なので、これからJRで確実に座って八王子方面に向かうなら19時30分発の全席指定特急「かいじ」がちょうどいいが、今日は地下街のコンビニで買い物をしてから京王百貨店の向かいにある26番バス停に向かう。


明治安田生命ビル前の26番乗り場からは、かいじと同じ19時30分に西東京バスの通勤ライナー高尾駅南口行きが発車する。


発車5分前時点で乗り場に並んでいるのは3人だったが、3分前にバスが入線する頃には私の後ろに2人が就き、合計6人の客が乗り込んで発車。初台で首都高速に乗り、高井戸から雨の中央道を進む。


車両は、高速バスで使用されるトイレ付きリクライニングシートの観光仕様なのでゆったり。


バスは国立府中インターを20時08分に抜けて一般道に降り、最初の停留所となる日野駅に20時21分到着。1人が降りて、ここからは路線バス「大11」「日21」「大01」の経路を小刻みに変移しながら、東光寺団地入口、多摩大橋は下車ゼロで通過。宇津木台南で2人が降り、残り3人を乗せて八王子駅方面を目指す。


この通勤ライナーは、日野駅、八王子駅、高尾駅と中央線の駅にも停まるが、それらの駅と新宿を結ぶだけでは鉄道に対して価格や時間で勝ち目はない。

ターゲットとしては、東光寺団地入口~宇津木台南~ケンウッド前間の鉄道とバスを乗り継ぐ必要があるエリアがメインとなるとみられ、そのエリアの中心である宇津木台南で乗客の3分の1が降りたのは当然かも知れないが、いかんせん分母が6人なので何とも言えない。

ちなみに通勤ライナーの運賃は、新宿から全停留所まで現金1100円、電子マネーなどでの支払いは1000円。参考までに乗り換えアプリで新宿19時30分出発、目的地を宇津木台南に設定すると、京王線とバスを乗り継いでIC価格で682円、到着は通勤ライナーより5分遅い20時41分と出た。

通勤などで新宿との間を日常的に往き来する人の多くは定期券を持っているだろうから、通勤ライナーを利用するには乗り換えなしで確実に座れるとはいえ1回1000円以上の持ち出しとなる。

そうしたことを踏まえた実験的な取り組みとPRを兼ねてか、11月1日~12月23日は運賃を現金も含め500円に引き下げるキャンペーンが展開されており、JRの定期券を持っている私が今回乗ってみる気になったのもキャンペーンの影響が大きい。

最近はテレワークの普及で定期券をやめ、出勤日の実費交通費分を支給する会社が増えているところに通勤ライナーの潜在需要が眠っている可能性はあるが、忘年会シーズンの12月に500円で運行しても6人しか乗っていない現実に交通ビジネスの難しさを見る思いがする。

1回乗っただけで断定はできないが、半額でも客を呼び込めないということは、運賃だけではないハードルが他にもあるのだろう。

そのハードルのひとつに、19時30分という発車時刻が挙げられるのではないだろうか。

よくコロナ禍前には、定時退勤の人たちがターミナルから18時ごろ乗り込む第1波、軽い残業や一杯を済ませた人たちが家路に就く20時半ごろの第2波、そして終電近くの第3波という3段階の電車の混雑の波があると聞いたことがある。

路線によって波の時間帯は異なるだろうし、コロナ禍による勤務形態や行動変容は混雑の波にも変化を及ぼしたとは思うが、それを踏まえても新宿19時30分発というピンポイントな便を日常的な足として重宝する客は多くないものと思われる。

新宿が始発の京王線特急なら10分待って次発に乗ればほぼ座ることができるし、JRでも760円(えきねっと予約なら660円)を定期券に足せば15~30分ごとに発車する全席指定の特急でゆったり帰ることができる。

そうした中、発車時刻も料金も所要時間にも決定的な優位性がみられない通勤ライナーの需要を喚起するには、どのような打ち手があるだろうか。

ちなみに通勤ライナーの車両は、高速バスのバスタ新宿~富士五湖線などと組み合わせた運用で、通勤ライナーは新宿~八王子の営業所間の出入庫を兼ねているようなので、新宿の発車時刻もそのあたりの背景が絡んでいるのかも知れない。

ケンウッド前からは、北八王子駅、JR八王子駅北口、京王八王子駅、八日町四丁目、高尾駅南口と鉄道駅をメインに降車扱いを行うが、それでは鉄道と路線バスの乗り換えを必要とする地点と新宿をダイレクトに結ぶバスの優位性が発揮されない。

ならば、北八王子駅からは鉄道駅に沿わず、八王子駅から路線バスの利用者が多い秋川街道~陣馬街道のルートを辿って恩方営業所に入庫する方が利用価値が高まるのではないだろうか。

部外者の机上論だと一蹴されるかも知れないが。

このあと、JR八王子駅北口、八日町四丁目で各1人が降り、終点の高尾駅南口まで乗り通したのは全区間乗車を目的にした私だけだった。

※後日注=新宿発高尾駅行きの通勤ライナーは2023年2月10日の運行をもって廃止されることが同年1月23日に発表されました。