3軒目の正直 | 酔いどれパパのブログ

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「お風呂」と「酒」と「路線バス」に関する駄文を書き連ねております。

(前ページからの続き)

会津若松に到着し、列車から降り立ったホームの脇によけて、スマホで目星を付けていた居酒屋さんに予約の電話を入れるが、今夜は難しいとのこと。


もっと早く予約しておけばよかったとも思うが、今回の旅はあまり計画を固めたくない気持ちもあった。


肩を落としつつ、朝にスペーシア待ちの時間を利用して浅草駅構内でスマホから予約した会津若松駅前のホテルに投宿、フロントで会津料理を肴に地酒をやれる店を尋ねると3軒を案内される。


ホテルは古びていたが、駅前広場を見下ろす位置にあり、ネット当日予約で4600円はお値打ち。オマケに隣接するスーパー銭湯の入浴券が付いているのも風呂好きには嬉しい。

すでに18時を過ぎているので荷物を部屋に投げ出して、フロントにキーを預け1番近い店を目指して歩く。


と、すぐ前を下今市から同じ列車で乗り継いでいた丸メガネの男性が歩いている。もしかすると、 夜の会津若松も私と同じプランかも知れないと思いつつ、さりげなく追い越して目的の店の戸を引き、人差し指を出して独りであることを伝えると、店の方が腕でバッテンマーク。


すぐに店を出て、ほど近いもう1軒に向かうと入り口に丸メガネ氏がいる。入店を待つよう指示されている様子だから、当落ライン上だろうか。


すでに2軒に断られているので、後ろで待つ私は焦りを感じるが、2人とも無事入店し、カウンター席に離れて座る。


無事酒にありつけた安堵感を抱きつつ店内の貼り紙を見回すと、花泉のにごり酒初しぼりがあったので最初の一杯にセレクトし、肴は会津名物ニシン山椒と桜肉ロースをそれぞれハーフで。


にごり酒はフレッシュで会津の夜の口開けにふさわしく、ニシン山椒と桜肉ロースが進む。


ニシン山椒は、身欠きニシンを粒山椒に漬けたようなものを想像していたが、生感残る酢締めのようなニシンに山椒の葉が大量に載っていて大変旨く、熱燗が欲しくなったので末廣2合と「本日入荷あり」の桜レバ刺しを注文。


 末廣熱燗でニシン山椒を楽しんでいると、ピカピカした桜レバ刺しが供される。


写真が下手で申し訳ないが、ニシン山椒と桜肉ロースは半分食べ進めたところにもかかわらず、ご覧の通りの量が残っている。

ハーフでも通常の1人前はあったので、まだまだ酒の友には困らない。

馬のレバ刺しは初めてなので、おそるおそる口に入れると、サクサクした食感で臭みはなく新鮮そのもの。

粗塩を付けるとレバの旨味が立ち上がってきて、今度は冷酒が呑みたくなったので、貼り紙で気になっていた「一道(みちひとつ)」なる日本酒を注文。

残りの末廣熱燗をニシン山椒で啜りながら、それとなく丸メガネ氏の方を見ると、テーブルの肴構成が私と同じで、旅仲間が飲み仲間になったような親近感を覚える(ひと言も交わしてませんが)。

一道は、熟成感と穏やかさが同居する好々爺のような酒で、手探りのように進めてきた旅の一日の締めくくりにバッチリ決まった。

3軒目で席を得た居酒屋さんの正直な酒と料理に感謝しながら店を出ると、表は入店前よりグッと寒さが増しており、ホテルでもらった入浴券をポケットの中で握りしめながら、「富士の湯」を目指して雪の積もった会津若松の裏通りを歩いた。
(つづく)