バスつれづれ(3) | 酔いどれパパのブログ

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「お風呂」と「酒」と「路線バス」に関する駄文を書き連ねております。


今日は、2017年6月に鹿児島市内で撮影した1枚。
バスのカラーリングと後ろの木々は南国を感じさせるが、角張った短尺ボディと中扉4枚折り戸、前扉脇の行き先表示のスタイルは都会を走るバスのよう。
それもそのはず、こちらの車両はかつて23区内を疾走していた元都営バスの三菱ふそうエアロスター。しかも、MBECSという今はなき低公害機構を備えていた少し変わったクルマ。

MBECSは、床下に備えた蓄圧タンクに制動時のエネルギーを蓄えて発進時のパワーアシストに充てることで排出ガスを低減する装置で、CNGのように長い充填時間に縛られず、ハイブリッドに不可欠なバッテリーが必要ないことから、一時期は低公害装置として期待されたが、複雑な機構のメンテナンスや不安定な制動力、バリアフリーへの対応などの課題がのしかかり、本格的な普及には至らず、写真の車両も都バス在籍時代にMBECS機構が解除された。

撮影した時は、たまたまランチに出掛けた折、横断歩道の信号が変わるのを待っている際にバスの姿が見えたので、慌ててポケットからスマホを取り出してシャッターを切ったのだが、隣にいた同業他社の先輩は、呆れながらも私の愚行を「生温かく」見守ってくれた。

その先輩とは、前頁のバスを撮影した金沢をはじめ、札幌から沖縄まで全国各地で杯を共にした。この日もランチを終えてから多少の仕事を済ませ、桜島を眺めながら交わした一杯が忘れられない。

その先輩は、鹿児島訪問から2年を待たずに旅立ってしまった。まだまだ、教えを乞いたかったし、もっと杯を交わしたかったが、それはもう叶わない。
明日は、先輩の一周忌。あの時に桜島を眺めながら吞んだ銘柄で、先輩の思い出とともに一杯やろうと思う。