金滴 | 酔いどれパパのブログ

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「お風呂」と「酒」と「路線バス」に関する駄文を書き連ねております。

(前頁からの続き)

新十津川駅で上り最終列車を見送った私を含む約10人は5分ほど雪道を歩き、新十津川町役場に到着。

ここからバスに乗れば、石狩川の対岸にある函館本線の滝川駅までは約15分。このルートは、昔から乗り鉄にはよく知られており、現行ダイヤだと滝川から旭川に向かい、富良野線に乗り換えて全線踏破の後、富良野から根室線で滝川には14時前に戻ることができる。

富良野線も根室線富良野~滝川間も札沼線同様に、JRが単独で維持が困難とした13区間に含まれており、ここでバスを使うと、効率的に「葬式鉄ハシゴ」ができる。一緒にバスに乗り込んだ人の中にもそのプランを実行する方々が含まれていそうだが、私には別の目的地があった。

新十津川町は、奈良県の十津川村からの入植者によって拓かれた土地で「新十津川物語」でご存知の方も多いかも知れないが、JALのファーストクラスや新幹線のグランクラスで提供された日本酒(現在は提供を終了)を醸す蔵があることは東京あたりではあまり知られていない。

バスに5分ほど揺られ、石狩川の大きな橋の手前でバスを降りると、新十津川町唯一の酒蔵「金滴(きんてき)酒造」の蔵が雪の中に並んでいる。

周囲をひと回りして北国の酒蔵の雰囲気を外から味わった後、正面の建物に入ると、奥では酒を仕込んでいる。できれば拝見したいが、冬場は見学不可となっており、今回は訪問&購入で我慢することにして、ショーケースに並ぶ日本酒や記念グッズを眺める。

道内産の「彗星」や「きたしずく」を使い、石狩川の支流の徳富川の水で仕込んだ数々の銘柄が並び、目移りすることこの上ない。

雪の中を携えて歩くことや飛行機に持ち込むことを考えると、4合瓶2本が限界。宅配便で送ることも可能だが、せっかく訪問したのだから、持ち帰りたい。
1本は、新十津川産「きたしずく」100パーセント使用で55パーセントまで磨いた純米吟醸原酒に決定。

もう1本をどうしようか迷い、店主さんらしき男性にアドバイスを請うと、「残り6本。うまいよ」と、「彗星」100パーセント使用の特別純米原酒ひやおろしをお薦めいただいたので、そちらに決定。



会計をしながら、東京でこちらのお酒が楽しめる居酒屋を訊ねると、あちこちで看板を目にする「居酒屋 北海道」で「新十津川」という銘柄を置いているとのこと。

居酒屋北海道には、渋谷で一度入ったことがあるが、相談したいことがあるとのことで一緒に入った昔の会社の後輩女性が、悩み事を語りながらもカニをモリモリ食べるさまに懐具合が気になって、日本酒の銘柄にまで気が回らなかった思い出がある。今度は独りで、「新十津川」を目当てに入ってみよう。