9月10日、朝から夫と病院に行ってきました。

 

朝は、夫が病院に行きたくないと思っていたと思うので、

なかなか着替えず、ギリギリまで寝そべったりしていたのです。

 

その姿を見て息子が会社を無断で休むようになる前、ギリギリまで着替えず

私が「早く準備しないと遅れるよ」と言ったことを思い出しました。

 

夫に「それじゃ〇〇(息子の名前)と一緒じゃない!ちゃんと

病院行って先生に家で言ってることをきちんと話さないとだめよ」と

ケツを叩いてようやく病院に到着。

 

本当は先生との診察の前に再検査する予定になっていたのですが、

夫に手術を受けたくない意向があったため、

先に先生と話し合いしたいことを受付で話し、

先に先生と話せることになったのです。

 

夫は手術に関して、身体にリスクがあることで踏み切れないことを話します。

私との話し合いで、私に「生きてほしい」と言われたこともあり、

夫としてはその気持ちに応えたい部分もあったかもしれません。

 

だからこそ悩んだと思います。

私も、夫が家で言っていたことを先生に失礼のないように、

噛み砕いて話しました。

 

・夫は経済的に病院代でお金がかなり掛かることで、なんのために

食費を抑えて節約してやってるか分からないと言っていたこと

・手術したらもう元の健康体に戻れないこと

・糖尿病のリスクがあることなど、

さまざまなことが要因になっていることを伝えます。

 

高額医療費などの制度を利用しても、高額であることには変わりないので、

夫としてはどうしてもそこが術後の生活を考えたときに、かなり

不安なようです。

 

私は、「でも今手術を受けないでいたら、今後身体にいろいろな症状が

現れたときに、その治療も加わり今よりもっとお金が掛かるようになる。

同じお金が掛かるなら、今分かっている身体の症状だけで手術を受けて

いた方が、支払いもそれだけで済むから今の内だと思う」

 

ということを話しました。

 

私も以前、白内障の手術を受けたことがあります。

もう約10年前のことです。

 

そのときは先生から「今はまだ症状が進んだ状態ではないので、

恐らくあと10年20年くらい経ったときに手術を受けることに

なるでしょう」と言われていました。

 

しかし私は年齢的に自分が60や70になったときに、今より他に

いろいろな病気が出ているかもしれない。

 

そうなったらその病気の治療と両方でお金が掛かってしまう。

今なら身体はどこも問題ないということが検査で分かっているので、

今の内にしといた方がと考えて、手術に踏み切りました。

 

夫や義母は、「医者が急いで手術する必要はないと言っているなら、

今しなくても」といわれましたが、年を取ってからの手術は

それだけでリスクがあると思ったのです。

 

白内障と夫の今度の病気の手術とは、リスクの大きさが違うかも

しれませんが、夫の今の段階でもガンである確率は40%といわれています。

 

微妙な数字ですがそう高くはないことと、まだガンとは断言できないこと、

ガンではないとも断言できないけど、いずれにしても

今手術を受ければ胆管が詰まることはなくなります。

 

もし、ガンでなかった場合はその後の経過観察だけで済むのです。

ガンだった場合は、他に転移が見られなかったとしても

抗がん剤治療でそれもかなり費用が掛かることになります。

 

でも同じ掛かるなら今の内に対応しておいた方が、今後

働けるようになったときには、その収入は病院通いでも

使いますが、生活にも使えます。

 

手術受けないで今働いたら、その収入が今後出た症状の治療費で消える

ことになると思うのです。

もちろんすべてではないですが、それでもカツカツだと思います。

 

そうなったら、病院代稼ぎにいってるような感じにならないかと思いました。

 

病院の先生も私のいうことはもっともであるとして、その上で

最終的に決めるのは夫自身なので、無理やり勧めることはしませんと。

 

私からは、「あなたの人生だからあなたが決めればいいんだけど、

でもこれからあなたがすることは、私や子供にも響いてくることだからね。

自分1人の人生ではないということを、今一度考えてほしい」と

言いました。

 

私や子供の人生も背負っていることを考えた上でも、やはり受けたくないので

あればもう何もいうことはありません。

 

黙ってその日が来たら、見送るしかないでしょう。

 

夫は、やはり先生の前でもなお決断できずにいたので、先生は

「この場で決められなかったら、もう一度家でご家族で話し合って

来てください。その代わりあまり長くは待てないので、他に手術を

待っている患者さんがいっぱいいますから、受けないならその人達に

チャンスを分けてあげたいですから一応24日までに決めてください」

と言われました。

 

もし手術を受けないのであれば、24日より前に早めに連絡してくださいと。

24日に来たときは、手術を受けるという前提で手術の話をしますとのこと。

 

つまりその日行ったら、もう受けないとは言えないということです。

 

夫は帰り道、少しいら立っていたようでした。

少し強めに「手術受けたくない!」とも言いました。

 

もちろん私も勧めるつもりはありません。

受けて欲しいというのは、あくまで私の意見です。

 

勧めているつもりはないけど、夫にしたら説得されているように

感じるのでしょう。

 

実はこの日の病院に行く途中で、夫が以前勤めていた会社から10月から

入ってくれないかとオファーがあったようです。

 

その時にはまだ行くとは返事してなく、待ってもらう形にしました。

で、この日の帰り夫は私に

夫「俺、頑張るからさ。仕事させてくれないかな」

私「別に、仕事しないでとは言ってないよ」

 

私としては病院で言ったことがすべてなので、もうこれ以上

余計なことは言いたくありませんでしたから、言葉少なに

返事しました。

 

言いたいことはたくさんあります。

「敢えて手術を受けないで、そのまま死を待つ」

それも人生というか、ある意味生き方かもしれません。

 

ですが、男は結婚するときも人の人生を背負うことを考えたら

かなり勇気がいったことだと思うのです。

 

私が夫と付き合っていた当時、私は結婚すると決めていたので、

「誰と結婚するの?私でしょ?いつ?」みたいに言ったら、

夫は「もう直球でくるね」と笑っていました。

 

電話でも同じようにいうことがあったので、そのとき

夫は少し真面目な口調で、「その後の生活、仕事も含めて

考えることあるから今、俺あんまり軽はずみなこと言いたくないんだ」と

言われました。

 

もう約30年前の話です。

 

それほどの決意を持って結婚したわけですから、去るときも

それなりの決意がいるのでしょう。

 

しかし、私は根治させる術があるのに経済的理由や身体へのリスク、

生きる希望がないことを理由に、みすみす死を選ぶのは

私の性分ではどうしても解せません。

 

「死を選ぶのも人生」

分かるけど、分かりたくない。

そんなの美談でも何でもないと思ってしまいますが、

私のエゴでしょうか。

 

その日、家に帰ってからまた夫が以前勤めていた会社から

夫の携帯に電話がありました。

 

どうやら欠員があったので、急遽スタッフが必要になったようです。

 

だからどうするか聞いてきたのでしょうが、夫は病院でガンかも

しれないと言われたことを正直に話していました。

 

結論をどういうのか私も興味深々で聞いていたのですが、

結局断りました。

 

電話を切ってから今日までの3日間、特に夫は荒れる様子も

ありません。

 

私にも笑って会話するし、その笑顔に無理があるようには

見受けらないので、私に言われたことを踏まえて

もう手術を受ける方向で、自分でも覚悟をしているのでしょうか。

 

逆に私の方が、わがまま言ってるような気がさせられるくらい

無理言ってるのかな?と思ってしまうこともあります。

 

例え死を待つ生活になっても、夫が働きたい気持ちを叶えて、

生き生きと仕事に行くようになれば、それも人生かとも

考えました。

 

でも、やっぱり私には夫を失ったあとの生活を考えると、

とてもやっていけないという不安もありますので、

私の方が死にたくなるとも思ってしまいます。

 

息子が今、元気に働いていてまともな生活をしているなら、

寂しくて悲しくても、まだもう少し心丈夫で救われるのです。

 

そうじゃないから、不安でしょうがありません。

しばらくは義母が一緒に暮らすことになると思いますが、

義母も老い先短い身です。

 

この先、私は誰を頼りに何を糧に生きていけばいいのかと

それを思うと悲しくなります。

 

私には夫がすべてですから、夫がいない人生は考えられません。

 

息子のことで世話になっている就労支援センターの人にも、

今回の夫のことを話しました。

 

その人は、「まずは息子さんが自立できるように、先日紹介した

生活訓練事業所のことも含めて、いろいろやっていきましょう。

私も全力でサポートします」と言ってくださっています。

 

何にしても息子は今のままではいけないので、夫の問題がなくても

進めていかなくてはいけない問題です。

 

次回からのブログ更新は、今後の私たち家族内で起こった問題で

新しい動きが出たら、それを書いて行こうと思っています。