我が家の周り
午前零時になると、突然、今までの静けさや、
夜の帳を破る小川のせせらぎが聞こえてくる。
とは言っても五月蝿くはなく、心地いい。
住宅街なのに、いきなり、上高地や尾瀬にいる居心地になる。
裏山は三年前まではミカン山だった。
突然、地主と関係者の皆さんがボーリングを始めた。
我が家の前の道が二項道路だったが
立派な6メーターの道路となった。
やがて、建築が始まり、ボーリングも終わり
温泉施設が完成した。
住宅街ということで、営業時間も午前零時までと
周囲に配慮されている。
営業が終了すると、風呂の栓を抜くようだ。
そして、毎日午前零時には、心地よいせせらぎが
道路の溝から聞こえてくるようになった。
夏場は窓を開けて寝ているので尚更せせらぎが耳に滲みこんでくる。
山奥の小川の近くの別荘にいるように錯覚してしまう。
冬は閉め切っているので、ほとんど聞こえないが
風のない寒い夜は、側溝の隙間から湯気がほんのりと揺らいでいるので
ニューヨークにいるような感覚すらある。
いや、どちかと言えば越後湯沢かも知れない。
まさか、自宅の裏山から温泉が出るとは思いもしなかった。
しかし、温泉施設に出入りの車が増えたので
車庫の出し入れが大変になった。
でも、裏山に温泉があるって、ちょっとリッチで楽しい。