「グッドバイ・マイ・・・」
【作者】小野川洲雄 先生
舞台は、人間が生まれる前の世界、白の使者たちと黒の使者たちが左右に並び、舞台奥の壇上には、不思議な老人が立っています。舞台中央には生まれる前の子ども達3人が飛び跳ねて、希望に満ちています。老人は、青太、黄郎、桃子と仮の名前をつけています。
そこへ現れる新たな子ども・緑・・・緑は、3人とは異なり、ひたすら腕立て伏せやランニングなど体力トレーニングばかりをして、3人と仲良くしようとはしません。そして、老人に聞けば運命の一部が分かると告げて、去ってゆきます。
3人は、老人を呼び、それぞれの運命を聞きますが、聞いたがゆえに、生まれることを拒むようになってしまいました。「運命は、一部であり、全てが決まっている訳ではない」とも老人は言いました。
そこへ再び現れた緑、緑は、自分が「生まれてすぐにコインロッカーに捨てられる運命」であることを3人に告げます。白と黒の使者が現れて、緑が生まれる時が来たことを告げます。
白の使者は、命への門を示し、黒の使者は無に帰する門を示します。二つの門の間で揺れていた緑ですが、たとえ酷な運命でも命への門を目指してゆきました。
その後、残された3人は・・・。黄郎は、両手が無いという運命を持たされています。青太は、秀才で勉強ばかりをしていて、友達もなく、ビルの屋上から飛び降り自殺を図ろうとする運命、桃子は母子家庭で育ち、ぐれて、補導暦あり、挙句の果て暴走族のバイクに乗り、事故にあうという運命を持っています。
3人の生まれる時が訪れたことを告げられ、迷う3人・・・緑が死んだことも知らされます。
最後に、運命と向き合い、運命を切り開く決意をするまでの過程が演じられました。
黄郎が生まれる直前に「お母さんは、僕が両手がないことを悲しんでいるの?」と尋ねました。「いや、一度も悲しんではいない」と老人が答えます。すると黄郎は、喜んで、命への門を目指します。
そして最後に黄郎は自分の左手をじっと見つめて仰ぎ、
「Good bye my・・・」とつぶやき、物語は終幕します。
「グッバイ マイ・・・」このマイの後ろの・・・に
何という文字が隠されているのでしょうか?
人それぞれの思いは違うと思います。
だから人それぞれの感動があります。

この黄郎(写真の黄色のシャツ)を長男は演じました。
最後は会場中からすすり泣きや感動の嗚咽がいたるところで聞かれました。
中学生の演劇であんなに号泣させれたのは初めてでした。
鳴り止まぬ拍手がそれを物語っていました。
今でもこれを書きながら目頭が熱くなっています。
演じきった彼らは今でも素晴らしい青春を突き進んでいます。
頭の良い子供達です。
もちろん、脚本が良いのです。各地の演劇会でいろんな賞を頂いている作品です。
命という、重い題材、しかも将来の不幸を知りつつ生を受ける。
不幸は解っているけれど、それに立ち向かい、切り開いていこうとする勇気。
中学生にどれだけ理解出来たかは不明ですが
命の大切さは充分に理解出来たはずです。
この題材を選んだ先生方に感謝申し上げます。
もし、この時のビデオをお持ちの方がいらっしゃいましたらご連絡下さい。
宜しくお願いします。